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「給料差し押さえ」で会社に借金がバレたら、クビにされても仕方ない?
2013年08月17日 12時21分

「カードの返済が滞り、給料を差し押さえられてしまいました」。ネットの相談サイトにこんな悩みが投稿されていた。借金が返せないと、ついには給料の差し押さえという事態に至ることもある。

給料を差し押さえられれば、その分だけお金が使えなくなるだけでなく、自分が借金を抱えていることが会社に知られてしまうことになる。たとえば、借金の原因がギャンブルやキャバクラ通いだったりすれば、怒った社長に「自己管理ができないなら辞めてくれ」と言われるかもしれない。

では、多額の借金を抱えて給料を差し押さえられた社員は、会社の信用を失墜させる恐れがあるとして、懲戒解雇されても仕方ないのだろうか? 労働問題に詳しい竹之内洋人弁護士に聞いた。

●よほどのことがない限り、懲戒解雇にはならない

「会社を辞めなくてはならないほどのことではありませんし、クビにもなりません。

ただ、もし社長に言われて辞表を書いてしまったりすると、解雇でなく『自主退職である』という扱いにされかねません。くれぐれも、辞表を出すようなことはしないでください」

——どうして、そういえるのか?

「労働契約法上、合理性と相当性がない懲戒解雇は無効とされているからです(同法15条、16条)。

懲戒解雇は、会社が下す処分として最も重い内容です。労働者にも重大な不利益をもたらしますから、『よほどの行為』でなければ懲戒解雇にふさわしいとは認められないのです」

——「借金を返せないこと」は、よほどの行為にはあたらない?

「まず、私生活上の借金は、労働者の義務である仕事(労務提供)とは無関係です。

私生活上のことでも、懲戒処分が認められる場合はありますが、それは会社の信用に大きな影響を与えて、企業運営に支障をきたすようなケースに限られます」

——労働者が金を返さないことは、会社のイメージを落とすのでは?

「それでも、借金で給料を差し押さえられたという程度では、会社に重大な信用失墜をもたらしたとまでは言えません。懲戒解雇の相当性はなく、解雇は認められないでしょう。借金の理由も関係ありません」

確かに、すぐに返せない借金がある状態で、収入まで途絶えたら、本人の生活が立ちゆかなくなるのは明白だ。こういうときこそ全力で仕事に打ち込んで、業務に支障が生じていないと証明すべきなのかもしれない。最後に、竹之内弁護士は「借金返済に困ったのなら、給料の差押えまでに至ってしまう前の段階で、弁護士に債務整理の相談をすべきです」とアドバイスしていた。

(弁護士ドットコムニュース)

「カードの返済が滞り、給料を差し押さえられてしまいました」。ネットの相談サイトにこんな悩みが投稿されていた。借金が返せないと、ついには給料の差し押さえという事態に至ることもある。

給料を差し押さえられれば、その分だけお金が使えなくなるだけでなく、自分が借金を抱えていることが会社に知られてしまうことになる。たとえば、借金の原因がギャンブルやキャバクラ通いだったりすれば、怒った社長に「自己管理ができないなら辞めてくれ」と言われるかもしれない。

では、多額の借金を抱えて給料を差し押さえられた社員は、会社の信用を失墜させる恐れがあるとして、懲戒解雇されても仕方ないのだろうか? 労働問題に詳しい竹之内洋人弁護士に聞いた。

●よほどのことがない限り、懲戒解雇にはならない

「会社を辞めなくてはならないほどのことではありませんし、クビにもなりません。

ただ、もし社長に言われて辞表を書いてしまったりすると、解雇でなく『自主退職である』という扱いにされかねません。くれぐれも、辞表を出すようなことはしないでください」

——どうして、そういえるのか?

「労働契約法上、合理性と相当性がない懲戒解雇は無効とされているからです(同法15条、16条)。

懲戒解雇は、会社が下す処分として最も重い内容です。労働者にも重大な不利益をもたらしますから、『よほどの行為』でなければ懲戒解雇にふさわしいとは認められないのです」

——「借金を返せないこと」は、よほどの行為にはあたらない?

「まず、私生活上の借金は、労働者の義務である仕事(労務提供)とは無関係です。

私生活上のことでも、懲戒処分が認められる場合はありますが、それは会社の信用に大きな影響を与えて、企業運営に支障をきたすようなケースに限られます」

——労働者が金を返さないことは、会社のイメージを落とすのでは?

「それでも、借金で給料を差し押さえられたという程度では、会社に重大な信用失墜をもたらしたとまでは言えません。懲戒解雇の相当性はなく、解雇は認められないでしょう。借金の理由も関係ありません」

確かに、すぐに返せない借金がある状態で、収入まで途絶えたら、本人の生活が立ちゆかなくなるのは明白だ。こういうときこそ全力で仕事に打ち込んで、業務に支障が生じていないと証明すべきなのかもしれない。最後に、竹之内弁護士は「借金返済に困ったのなら、給料の差押えまでに至ってしまう前の段階で、弁護士に債務整理の相談をすべきです」とアドバイスしていた。

(弁護士ドットコムニュース)

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