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亡き母宅に居座った「愛人男性」が立退料「1000万円」要求、支払わないとダメ?
2016年11月02日 00時00分

母が亡くなった後、マンションから出て行かない男性に、どうやったら出て行ってもらえるのか?そんな質問が、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに寄せられました。

相談者によれば、この男性は「愛人のような男性」だといい、母が亡くなるまでマンションに「3年ほど住んでおりました」という。

すでに、父は亡くなっており、相談者と弟の2人で相続を争っている状況です。マンションは、母が所有していたもの。しかし、この愛人の男性は「(出て行くから)1000万円ほしい」と言っているそうです。なお「母と男性のあいだには貸借契約はありません」。

男性はまだマンションに居座っており、「お金をはらわないと追い出せないものでしょうか?」と質問しています。木野 達夫弁護士の解説をお届けします。

母が亡くなった後、マンションから出て行かない男性に、どうやったら出て行ってもらえるのか?そんな質問が、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに寄せられました。

相談者によれば、この男性は「愛人のような男性」だといい、母が亡くなるまでマンションに「3年ほど住んでおりました」という。

すでに、父は亡くなっており、相談者と弟の2人で相続を争っている状況です。マンションは、母が所有していたもの。しかし、この愛人の男性は「(出て行くから)1000万円ほしい」と言っているそうです。なお「母と男性のあいだには貸借契約はありません」。

男性はまだマンションに居座っており、「お金をはらわないと追い出せないものでしょうか?」と質問しています。木野 達夫弁護士の解説をお届けします。

●「使用貸借契約」は成立していた?

今回のケースでは、どのような契約を結んでいたのか、あるいは結んでいなかったか、によって対応方法は異なってきます。

相談者の母と男性は、愛人関係だったということですから、母と男性との間で「使用貸借契約」(民法593条)が成立していたと考えられます。その場合、契約期間は下記の3パターンが考えられます。

・期間を定めた場合→その期間(民法579条1項)
・期間を定めず、契約の目的を定めていた場合→目的を達成するための期間が経過したとき(同条2項)
・期間も目的も定めなかった場合→いつでも返還請求できる(同条3項)

● 契約書がなかったら?

使用貸借の契約書がない場合には、当事者がどのような考えであったかが重要になってきます(これが契約の目的です)。

建物の使用貸借の場合には、(1)「一生住ませてあげる」、(2)「当面、住ませてあげる」、(3)「自分が生きている間は住ませてあげる」などの複数の解釈があり得ます。

母が男性と住んでいたことは、通常、(3)「自分が生きている間は住ませてあげる」という内容であったと考えられます。したがって、母が亡くなった時点で使用貸借契約は終了したと解されます。

よって、男性は無権限で居住していることになりますから、お金など支払わなくても退去を求めることができると考えます。

● 退去を嫌がったら?

なお、退去に同意しないことも考えられます。その場合、男性に対して、建物明渡請求訴訟を提起することになります。

民法252条によると、「共有物の管理に関する事項は、(中略)各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。」と規定されています。

一般に、不法占有者に対する退去請求は「保存行為」(財産の価値を現状の状態で維持するための行為)にあたるとされています。本件の場合、男性は無権限による不法占有者だと考えられますから、相談者が単独で訴訟を提起することが可能です。

● 「内縁関係」だったらどうか?

内縁関係にあったかどうかは、同居の期間、家計を同一にしているかどうか、挙式の有無、子の存在などの事情が総合的に考慮されます。

本件の場合、事情によっては「内縁関係」であったといえるかも知れません。しかしながら、「内縁関係」といえる場合であっても、内縁の夫(妻)には相続権がありませんので、遺言書でもない限り、相続に影響はありません。

(弁護士ドットコムライフ)

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