7082.jpg
菜々緒さんも激怒「歩きタバコで友人がやけど」 ケガをさせた「喫煙者」の責任は?
2013年06月14日 14時52分

「歩きタバコ」でやけどの被害にあった――。ファッション誌などで活躍する人気モデルの美優さんがネットでそう報告し、話題になっている。美優さんが6月10日、ツイッターで「一週間前に歩きタバコが膝に当たって火傷した所が全く治らない…」と投稿すると、モデル仲間で女優の菜々緒さんが「歩き煙草とかする人間、最低」とツイッターで反応し、反響が広がった。

美優さんによると、人ごみの中にいるときに、歩きタバコをあてられたという。ブログには、大勢の人でごった返すイベント会場の写真も掲載され、「絶対当たるよね…もし当たったのが子供だったらと思うと…本当モラルに欠ける…」という言葉が記されている。美優さんは皮膚科に行って、医師から治療薬を処方してもらったとのことだ。

火がついたタバコの先端部分は、700〜800度の高温に達するといわれる。人ごみの中での「歩きタバコ」はとても危険な行為といえるだろう。では、歩きタバコを他人にあてて、ケガをさせてしまった場合、傷害罪などの犯罪になるのだろうか。また、ケガをさせられた人は「歩きタバコ」の主に対して、治療費などの損害賠償を請求できるのだろうか。好川久治弁護士に聞いた。

●「歩きタバコ」をあててしまうと、過失傷害罪に問われる可能性がある

「傷害罪とされる可能性は低いと思います。それが成立するためには、歩きタバコをしている人が少なくとも『人にタバコの火があたっても構わない』と思っていたことが必要だからです。傷害の結果や暴行について『故意』が証明できなければ、傷害罪の責任を問うことは難しいでしょう」

それでは、他の犯罪にはなる?

「はい。人ごみの中で歩きタバコをすれば、人に火傷を負わせることは容易に予想できます。その危険性を考えると、過失傷害罪(刑法209条1項)または重過失致傷罪(211条1項後段)の責任を問われる可能性があります。

なお、最近では地方公共団体の条例で、特定区域内の路上喫煙に対し、過料(行政罰であって刑罰ではありません)の制裁を課すケースが増えてきました」

では、被害者は治療費などを請求できるのだろうか?

「歩きタバコで人にケガをさせれば、不法行為(民法709条)が成立します。つまり、加害者は、ケガの治療費や通院のための交通費のほか、仕事を休んだことによる損害や慰謝料などについて、賠償しなければなりません。

仮に、タバコの火が子どもの目にあたって失明でもすれば、後遺障害による損害だけでも数千万円になる可能性があります」

屋外で喫煙できる場所がどんどん減っている昨今、「歩きタバコぐらい、いいだろう」と考えている人は少なくないかもしれない。だが、人ごみの中での「歩きタバコ」は、ほかの誰かに大きな被害を与える「犯罪」になってしまう可能性があるのだ。喫煙者はそのことを理解して、自制心を働かせるべきといえるだろう。

(弁護士ドットコムニュース)

「歩きタバコ」でやけどの被害にあった――。ファッション誌などで活躍する人気モデルの美優さんがネットでそう報告し、話題になっている。美優さんが6月10日、ツイッターで「一週間前に歩きタバコが膝に当たって火傷した所が全く治らない…」と投稿すると、モデル仲間で女優の菜々緒さんが「歩き煙草とかする人間、最低」とツイッターで反応し、反響が広がった。

美優さんによると、人ごみの中にいるときに、歩きタバコをあてられたという。ブログには、大勢の人でごった返すイベント会場の写真も掲載され、「絶対当たるよね…もし当たったのが子供だったらと思うと…本当モラルに欠ける…」という言葉が記されている。美優さんは皮膚科に行って、医師から治療薬を処方してもらったとのことだ。

火がついたタバコの先端部分は、700〜800度の高温に達するといわれる。人ごみの中での「歩きタバコ」はとても危険な行為といえるだろう。では、歩きタバコを他人にあてて、ケガをさせてしまった場合、傷害罪などの犯罪になるのだろうか。また、ケガをさせられた人は「歩きタバコ」の主に対して、治療費などの損害賠償を請求できるのだろうか。好川久治弁護士に聞いた。

●「歩きタバコ」をあててしまうと、過失傷害罪に問われる可能性がある

「傷害罪とされる可能性は低いと思います。それが成立するためには、歩きタバコをしている人が少なくとも『人にタバコの火があたっても構わない』と思っていたことが必要だからです。傷害の結果や暴行について『故意』が証明できなければ、傷害罪の責任を問うことは難しいでしょう」

それでは、他の犯罪にはなる?

「はい。人ごみの中で歩きタバコをすれば、人に火傷を負わせることは容易に予想できます。その危険性を考えると、過失傷害罪(刑法209条1項)または重過失致傷罪(211条1項後段)の責任を問われる可能性があります。

なお、最近では地方公共団体の条例で、特定区域内の路上喫煙に対し、過料(行政罰であって刑罰ではありません)の制裁を課すケースが増えてきました」

では、被害者は治療費などを請求できるのだろうか?

「歩きタバコで人にケガをさせれば、不法行為(民法709条)が成立します。つまり、加害者は、ケガの治療費や通院のための交通費のほか、仕事を休んだことによる損害や慰謝料などについて、賠償しなければなりません。

仮に、タバコの火が子どもの目にあたって失明でもすれば、後遺障害による損害だけでも数千万円になる可能性があります」

屋外で喫煙できる場所がどんどん減っている昨今、「歩きタバコぐらい、いいだろう」と考えている人は少なくないかもしれない。だが、人ごみの中での「歩きタバコ」は、ほかの誰かに大きな被害を与える「犯罪」になってしまう可能性があるのだ。喫煙者はそのことを理解して、自制心を働かせるべきといえるだろう。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る