7119.jpg
性行為の強要、ギャラ未払いに逆ギレ…フリーランスのセクハラ・パワハラ被害が明らかに
2019年09月10日 17時43分

特定の企業や組織に属さずに、個人で仕事を請け負うフリーランス。その数は300万人を超えるとの内閣府の試算もあるが、多様な働き方の一方で、フリーランスを守る法令は不十分なままだ。

フリーランスに関する3団体が行った実態アンケートでは、フリーランス経験者のうち、パワハラを受けた人が61.6%、セクハラを受けた人が36.6%にのぼり、ハラスメント被害経験のある45.5%が誰にも相談できていなかったことが明らかになった。

特定の企業や組織に属さずに、個人で仕事を請け負うフリーランス。その数は300万人を超えるとの内閣府の試算もあるが、多様な働き方の一方で、フリーランスを守る法令は不十分なままだ。

フリーランスに関する3団体が行った実態アンケートでは、フリーランス経験者のうち、パワハラを受けた人が61.6%、セクハラを受けた人が36.6%にのぼり、ハラスメント被害経験のある45.5%が誰にも相談できていなかったことが明らかになった。

●監督や発注者からのハラスメント被害相次ぐ

調査を行ったのは、日本俳優連合、MICフリーランス連絡会、プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会の3団体。調査は、日本国内で働いた経験のあるフリーランスを対象に、2019年7月16日〜8月26日までインターネットで行い、俳優や編集者、ライター、声優など1218人から回答を得た。

ハラスメントの内容は、「精神的な攻撃(脅迫、人誉毀損、侮辱、ひどい暴言)」が59.4%(724人)でもっとも多く、「過大な要求」42.4%(517人)、「経済的な嫌がらせ」39.1%(476人)と続いた。

5位以下は、「プライベートを詮索・過度な立ち入り」33.7%(410人)、「容姿・年齢・身体的特徴について話題にした・からかわれた」33.6%(409人)、「性経験・性生活への質問、卑猥な話や冗談」28.5%(347人)とセクハラ被害が相次いだ。

ハラスメントの加害者は、「監督、演出家、スタッフ」が37.1%(379人)ともっとも多く、「所属先の上司・先輩・マネージャー」36.1%(369人)、「発注者・取引先・クライアントの従業員」35.8%(366人)などが上がった。

●「ギャラ未払い逆ギレ」、「局部触らされる」

ハラスメント被害を相談しなかった理由として、「相談しても解決しないと思った」56.7%(240人)、「人間関係や仕事に支障が出る恐れ」53.7%(227人)、「不利益を被る恐れ」42.8%(181人)が上位をしめ、「どこに相談すればよいか分からなかった」37.8%(160人)という声もあった。

自由回答記述では、「打ち合わせと称して、ホテルに呼び出されてレイプされた」(女性40代、映像製作技術者)、「仕事で取引のある会社の社長に新事業を見て欲しいと言われ地方出張へ出向いたところ、ホテルで性的関係を迫られた」(女性20代、アナウンサー)、「主催者の自宅で稽古をすると言われて行ったら、お酒を飲まされて性的な行為をさせられた」(20代女性、女優)、「お尻を触られる、局部を触らされる」(男性30代、脚本家)といった深刻な性暴力被害が明らかになった。

また、「ギャラ未払いに対する支払い要求に逆ギレされた」(30代女性、女優)、「イラストの権利を主張した際、金の亡者と言われ謝罪させられた」(20代女性、イラストレーター)など、ギャラの支払いをめぐるトラブルをあげる声も複数あった。

●「法の対象にフリーランスも」13項目の要望

厚生労働省は、自営型テレワークやフリーランスといった、雇用関係によらない働き方の保護のあり方を議論している。

3団体は東京・霞が関の厚労省記者クラブで9月10日、記者会見を開き、一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会の平田麻莉さんは「自分の体験を活かしてほしいという期待を込めて回答してくれた人がいるのではないか」と話した。

東洋大学の村尾祐美子准教授は「このタイミングでアンケート結果と要望書が発表されることは大きな意義がある」と述べた。

3団体は9月9日、厚生労働省にアンケート結果と合わせて要望書を提出。支援制度や法整備を含む13項目を求めた。

(要望の一部)
・パワハラ防止法などに、事業主の雇用管理上の措置義務の対象にフリーランスも加える
・発注者企業の相談窓口で、フリーランスからの相談も受け付ける
・妊娠、出産、育児介護や、ハラスメントに抗議したことを理由とした不利益取り扱いを禁止する
・パワハラ類型に一方的な契約打ち切りなど「経済的嫌がらせ」を加える
・仕事を行う場所についてのルールを各企業などで定めるよう指針に明記する
・労働局など行政の相談窓口をフリーランスも活用できるようにする

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る