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夫に暴力や暴言、「性格がきつい」と三行半をわたされた妻…それでも「離婚を回避できる方法を教えて」
2025年04月27日 09時44分
#離婚

数カ月後に協議離婚が決まっているけど、離婚を回避したい──。こんな女性からの相談が弁護士ドットコムに寄せられました。

女性は、過去に夫に暴力をふるったり、しばしばキレて怒鳴ったりしたこともあったようです。夫は、そのきつい性格を直したら、離婚後に恋人として付き合ってもいいとはいうものの、離婚する気持ちは揺らがないようです。

女性は正社員で働いていますが、ひとりで生活できるだけの収入はなく、「離婚したら生活ができない」と困っています。現在は別居中で、夫が光熱費を支払い、なんとか生活できている状態だそうです。

また、夫への暴力や怒鳴ったことは記録にとられており、離婚調停になれば「自分に不利になるのでは」と悩んでいます。

女性が離婚を回避できるための方法はあるのでしょうか。稲生貴子弁護士に聞きました。

数カ月後に協議離婚が決まっているけど、離婚を回避したい──。こんな女性からの相談が弁護士ドットコムに寄せられました。

女性は、過去に夫に暴力をふるったり、しばしばキレて怒鳴ったりしたこともあったようです。夫は、そのきつい性格を直したら、離婚後に恋人として付き合ってもいいとはいうものの、離婚する気持ちは揺らがないようです。

女性は正社員で働いていますが、ひとりで生活できるだけの収入はなく、「離婚したら生活ができない」と困っています。現在は別居中で、夫が光熱費を支払い、なんとか生活できている状態だそうです。

また、夫への暴力や怒鳴ったことは記録にとられており、離婚調停になれば「自分に不利になるのでは」と悩んでいます。

女性が離婚を回避できるための方法はあるのでしょうか。稲生貴子弁護士に聞きました。

●暴力や暴言が必ず離婚事由に該当するわけではない

──相談者の過去の暴力や夫に怒鳴った行為は離婚事由になるのでしょうか。

配偶者に対する暴力(身体的暴力)や大声で怒鳴る行為(暴言)は、「婚姻関係を継続しがたい重大な事由」(法律上の離婚事由、民法770条1項4号)に当たり得ます。

DV防止法の前文では「配偶者からの暴力の被害者は、多くの場合女性であり、経済的自立が困難である女性に対して配偶者が暴力を加えることは、個人の尊厳を害し、男女平等の実現の妨げとなっている」との記載があります。

男性がDVの加害者になりやすいというイメージがありますが、そうとは限りません。妻が加害者となるケースも当然あります。

ただし、一度でも暴力や暴言があれば、必ず離婚事由に該当する、というわけではありません。暴力・暴言の経緯や内容、程度等によっては離婚事由に該当しないケースや、互いに喧嘩をする中での暴力や相当時間が経過した過去の暴力の場合は離婚事由と認められないケースもあります(夫婦間での暴力が許されるというものではありませんが)

──仮に離婚事由が相談者にあるとしても、相談者の収入を考慮して、夫に家賃や光熱費の費用を出してもらうことを請求することはできるのでしょうか。

離婚成立までの間、離婚事由が相談者にあっても婚姻費用を請求することは可能です。

金額は配偶者双方で合意すれば自由ですが、調停等では双方の収入をもとに算定することが多いです。なお、相談者に離婚事由がある場合であるとして、夫から婚姻費用の減額を求められる可能性も考えられます。

●離婚回避のため「円満調停」を申し立てる方法も

──相談者が離婚しないためにできることはありますか。

協議離婚には配偶者双方の同意が必要となるため、拒否すれば一時的に回避できます。しかし、離婚を求める配偶者から離婚調停が申し立てられることが予想されます。

離婚調停を申し立てられても、離婚の意思がない旨を伝えるのはもちろんのこと、復縁を希望すると主張することも可能です。

ただし、離婚調停は基本的に離婚に向けての協議をすることから、別途、夫婦間調整調停(円満)いわゆる「円満調停」を申し立て、復縁に向けて夫婦間のルール作りなどの協議を求めてもよいでしょう。

また、夫に指摘された「きつい」性格をいかに改善するかについて言葉だけでは伝わりにくいことから、アンガーマネジメントのカウンセリングを受けるなど、性格改善に具体的に取り組んでいることを夫に示すことも、離婚回避に向けた一つの方法といえるでしょう。

とはいえ、性格は本当に変わろうと思わないと変えることは難しいものです。本当に性格を変えて復縁を図りたいのであれば、まずは自身の性格を分析するところから始めてみるのがよいでしょう。

性格形成は、過去の教育や経験、特に親子関係が影響するといわれています。そのため親子関係を中心に振り返ってみることも有益でしょう。分析して問題点をあぶり出し、具体的に認識、修正することで性格の改善を図ることはできるのではないでしょうか。

夫婦生活の中で、感情を抑えきれず思わず怒鳴ってしまったという経験がある方もいるのではないでしょうか。

すぐに謝り、仲直りができればいいのですが、何度も繰り返せば、もはや夫婦関係の修復が困難となる場合もあります。

相談者のケースでは、夫の離婚の意思は固そうであるものの、性格を改善できれば交際自体は可能と言っていることから、相談者との人間関係を完全に断ち切りたい状況ではなさそうです。

夫の意思を翻すことは容易ではないとは思いますが、改めて夫との関係を構築しなおすため、自身の性格と向き合って頑張ってほしいです。

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