富山県弁護士会は4月30日、地方消費者行政の安定的推進のため恒久的な財源措置を求める会長声明を発表した(声明は4月24日付)。声明では、消費者庁創設時に比べ大幅に減額された地方消費者行政向け交付金について、2025年度末で活用期限を迎える地方公共団体が多いことから、継続的な実施と恒久財源の確保を国に要請している。
背景には、2023年の全国消費生活相談件数が約90.9万件と前年度から3万件以上増加し、消費者被害・トラブル額の推計値も前年より2兆円以上増加していることがある。富山県でも消費生活センターへの相談件数は4945件と高水準を維持しているという。
● 「相談員の減員や相談時間削減は避けられず」と危機感
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富山県弁護士会(Googleストリートビューより)
富山県弁護士会は声明で、「国による財源的支援がなくなれば、自治体の自主財源による負担が増加し、限られた予算のもとでの人材確保は、ますます難しくなる」と指摘。「消費生活相談員の減員や相談日・相談時間の削減は避けられず、地方における消費者被害の件数や被害額がますます増加することが懸念される」と危機感を表明している。
声明ではまた、消費生活相談員の高齢化と担い手不足の解消に向け、「消費生活相談員が安定的に業務を継続できるよう、その専門性に見合う処遇を確保するための制度設計と必要な予算措置」を求めるとともに、消費者庁が進める消費生活相談のデジタル化について「PIO-NETの刷新や運用により地方公共団体に生じる費用を国の責任で措置すること」を要請。「消費生活相談情報を全国一律に一元的に集約し活用する仕組みが維持できるよう、その刷新や運用の費用は、すべて国において負担すべき」としている。