7527.jpg
「一橋大アウティング事件」控訴審は11月25日判決…遺族側「弁論再開」の申し立て認められず
2020年10月07日 20時41分

同級生から同性愛者であることを暴露(アウティング)された一橋大ロースクールの男子学生(当時25歳)が、2015年8月に大学構内の建物から転落死したことをめぐる訴訟で、遺族側が10月7日、控訴審の判決期日を取り消し、弁論を再開するよう東京高裁に申し立てた。大学側が公表していなかった新事実が明らかになったためとしている。

控訴審では、遺族側と大学側の和解協議が続いてきた。遺族側は最終的に、謝罪や賠償は要求せず、アウティング問題について学内での啓発や再発防止を求める内容を提案したが、一橋大が受け入れなかった。

申し立てが通れば、審理が再開されることになるが、認められなければ、予定通り11月25日の判決となる。

同級生から同性愛者であることを暴露(アウティング)された一橋大ロースクールの男子学生(当時25歳)が、2015年8月に大学構内の建物から転落死したことをめぐる訴訟で、遺族側が10月7日、控訴審の判決期日を取り消し、弁論を再開するよう東京高裁に申し立てた。大学側が公表していなかった新事実が明らかになったためとしている。

控訴審では、遺族側と大学側の和解協議が続いてきた。遺族側は最終的に、謝罪や賠償は要求せず、アウティング問題について学内での啓発や再発防止を求める内容を提案したが、一橋大が受け入れなかった。

申し立てが通れば、審理が再開されることになるが、認められなければ、予定通り11月25日の判決となる。

●もともとは大学の説明不足から提訴

遺族側は、事件や対応の経緯などの説明を求めても、大学から情報が出て来ないことに不信感を抱き、真実を知りたいと2016年に提訴。学生が大学に相談していたのに適切な対応がとられなかったなどと主張したが、一審の東京地裁では「大学側は転落死を予見できなかった」として敗訴した。なお、暴露した学生も訴えていたが、一審の途中で和解している。

遺族側が弁論再開が必要な理由としてあげているのが、東京新聞(8月24日)の報道だ。学生の死から5年目に出されたこの記事では、弁護士になった学友が匿名で取材に応えており、転落死の後に職員から説明があったことなどを語っている。これは裁判を通じても明らかになっていなかった情報だという。

遺族側は、学生の死後、大学組織内でどのような情報共有と意思決定がなされ、具体的にどのような行動がとられたかは、一連の経緯について、大学側がどのように認識していたかの判断に必要だと主張。さらなる審理が必要と求めている。

●「裁判官の裁量」

遺族側代理人の南和行弁護士は取材に対し、「申し立てが通るかは裁判官の裁量で決まる。事件が知られたことで、社会では新しい動きが出てきた一方、情報の開示が十分でなく、大学が事件をどういう風に受け止め、対応しようとしたのかは最後まで分からなかった」と語った。

編集部は一橋大に対して、東京新聞が報道した、事件後の説明が本当にあったのかどうか、また事件以降、大学として始めたり強化したりしたアウティング問題についての対応などがないか、尋ねている。回答があり次第、追記する。

【10月8日追記】

一橋大は10月8日、「係属中であることから、本学としてコメント等は差し控えたく存じます」と回答した。

また、南弁護士によると、10月8日に裁判所から申し立てを認めない旨の連絡があったという。予定通り、11月25日に判決が言い渡される。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る