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食料をめぐる混乱、仮設トイレに列…外国人記者が見た「熊本地震」
2016年04月20日 10時15分

4月14日夜から大きな地震があいついだ熊本。最大震度7を観測した熊本県益城町を17日に取材した日本在住の米国人ジャーナリスト、マイケル・ペン氏(45)は「食料や水などの供給・輸送で、混乱や格差が起きていることを目にしました。避難所には5つの仮設トイレが設置されていましたが、数百人が使うので列ができて20分以上も並ぶこともありました。このような状況を海外に発信したい」と話している。

4月14日夜から大きな地震があいついだ熊本。最大震度7を観測した熊本県益城町を17日に取材した日本在住の米国人ジャーナリスト、マイケル・ペン氏(45)は「食料や水などの供給・輸送で、混乱や格差が起きていることを目にしました。避難所には5つの仮設トイレが設置されていましたが、数百人が使うので列ができて20分以上も並ぶこともありました。このような状況を海外に発信したい」と話している。

●道路にはヒビが入り、水道管がむき出しになっていた

ペン氏は、日本の国内情勢をトルコなど中東に向けて発信するメディア「新月通信社」を運営している。主に東京を中心に活動しているが、2000年から2010年にかけて北九州市立大学の教員だったことがあり、九州という土地に思い入れがあった。今回の取材は、熊本の状況を海外に伝えるためだという。

ペン氏が益城町に入ったのは4月17日。この日の朝早く新幹線で小倉(福岡県北九州市)に向かった。小倉から熊本市内までは、知人の車に乗せてもらった。さらに、そこからタクシーを使って、益城町に午後早い時間に着いた。ペン氏によると、地震の爪痕が大きく残されていたという。

「私が歩いた地域の道路には、大小無数の亀裂が入っていました。水道管がむき出しになっているところもありました。家屋の屋根はクラッシュして、瓦があちこちに落ちていました。全壊していなくても、基礎部分がダメージを受けて、もう人が住めないと思われる建物が多くありました」

ペン氏は、避難所になっている町立小学校を訪れた。赤ん坊やお年寄り、体の不自由な人などを含め、約500人以上が避難生活を余儀なくされていた。避難者の多くが過ごす体育館のフロアには、2台のテレビが設置され、ニュース番組が途切れることなく流れていた。

「一見、普段の生活と変わらないように見えました。何百人と一緒に過ごすとストレスがかかりますが、顔なじみの隣人のコミュニティだったので、今のところうまくいっているようです。ただ、お年寄りや体の不自由な人たちの表情には疲労もにじんでいました」

●「食べ物の量ではなく、種類が少ないと思った」

今回の地震で大きな被害があった熊本県では、流通がうまく機能せず、食料や水など生活に必要な物資が届きにくくなった。水道やガスなど、ライフラインも止まっている地域があり、益城町も広い範囲で断水が続いていた。

ペン氏によると、この避難所では、自衛隊が給水活動をしたり、おにぎりを作って避難者に配る活動をしていたという。ペン氏は「自衛隊や消防などの支援活動はすごい、がんばっていると思いました。ただ、食料の種類が少ないと思いました。おにぎりだけしかない時があるとか。やはり、食料などの物資が届きにくくなっていたのです」と振り返る。

ペン氏は17日夜、避難所に泊まった。ほかの人と同じように体育館の床にプラスチック製のマットレスを敷いて、さらにタオル2枚を枕にして眠った。だが、数百人が寝泊まりする避難所は、物音や話し声がたえない。移動や取材の疲れもあったが、3時間ほどで目が覚めたという。

ペン氏は翌18日、自分で持って来ていた食料・飲料が尽きたため、この日に復旧したばかりのJR鹿児島線で博多まで戻った。計36時間ほどの滞在で取材・撮影した映像をまとめて、来週にもトルコのテレビ局などで発表する予定だという。

(弁護士ドットコムニュース)

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