8051.jpg
「あなたの車にぶつけられた」駐車場に残されたメモ…身に覚えのない事故、どう対処するのが正解?
2024年12月01日 09時38分
#損害賠償 #事故 #詐欺

「娘が車をぶつけた証拠がないのに、相手方からぶつけたと言われている。どのように対処すればよいでしょうか」

そんな質問が弁護士ドットコムに寄せられました。

相談者の娘が、買い物を終えて駐車場に戻ると「あなたの車がぶつかって車にへこみがついた」というメモがワイパーに貼られていました。相手方の連絡先が書いてあったので連絡すると、車のへこみは間違いであることが分かりましたが、今度は「こすったキズがある」と言われたそうです。

相談者としては、娘はぶつけた記憶はないこと、こすったキズは前後の移動ではつかないことから、娘が原因ではないと考えています。相手方はこすり傷の写真をもとに「逃げられないぞ」と強く言ってきますが、相談者としてはどのように対応するべきでしょうか。坂田信太弁護士に聞きました。

「娘が車をぶつけた証拠がないのに、相手方からぶつけたと言われている。どのように対処すればよいでしょうか」

そんな質問が弁護士ドットコムに寄せられました。

相談者の娘が、買い物を終えて駐車場に戻ると「あなたの車がぶつかって車にへこみがついた」というメモがワイパーに貼られていました。相手方の連絡先が書いてあったので連絡すると、車のへこみは間違いであることが分かりましたが、今度は「こすったキズがある」と言われたそうです。

相談者としては、娘はぶつけた記憶はないこと、こすったキズは前後の移動ではつかないことから、娘が原因ではないと考えています。相手方はこすり傷の写真をもとに「逃げられないぞ」と強く言ってきますが、相談者としてはどのように対応するべきでしょうか。坂田信太弁護士に聞きました。

●娘が損害賠償を負う可能性は?

——今回のケースで、娘が損害賠償を負う可能性はあるのでしょうか。

接触事故による物損の損害賠償請求は、被害を受けたと主張して損害賠償を請求する側が、証拠によって、こちらの故意・過失に基づく行為によって損害を受けたことを証明する必要があります。こちらの車と接触して傷ができたことが客観的に分かる証拠がなければ、相手方の請求が法的に認められることはありません。

本件では相手方が主張する被害の内容が不自然に変わってきていることから、おそらく虚偽の申出による不当な要求と考えられます。

たとえ「こすったキズ」の写真を相手方が示してきても、それが娘さんの車と接触してできたものという証拠は出せないと思われます。

こういった場合、車のどの場所なのかよく分からない写真などを出してくることが多いので、「こちらの車と場所を突き合わせて確認するので、もう少しどの場所のキズなのかが分かる写真を下さい」と要求するのがよいと思います。おそらく相手方はそのようなきちんとした証拠を出せません。

●警察に相談しておいた方が良い理由

——このようなケースの場合、警察に届け出た方が良いのでしょうか。

まず、メモに書いてある電話番号に連絡する前に、警察に相談するという選択があったように思います。全く身に覚えのないことなので、詐欺の可能性が高い、という相談です。

後日、相手方から当て逃げ(報告義務違反)と言われないようにするという意味もあります。まず警察に届けておけば、心当たりがないのにあえてこちらから相手方に連絡を取る必要もないと言えます。

また、相手方の要求がエスカレートして、危害を加えるだとか、SNSで晒すといった脅迫行為になってきた段階で、警察に相談するということも考えられます。

そこまでいかない段階であれば、弁護士にご依頼いただき、弁護士から受任した旨の連絡をするとともに、客観的な証拠による立証を求める内容証明郵便を送れば、それだけで何も言ってこなくなることも多いです。

警察から、軽微な物損事故によるトラブルという理解しか得られないと、民事不介入を理由にあまり真剣な対応をしてもらえない可能性がありますが、脅迫や恐喝(おどしてお金を要求すること)ということになれば立派な犯罪ですので、こちらの被害の程度に応じて警察の対応も真剣なものになってくることが期待できます。

それでも取り合ってもらえない場合には、弁護士に依頼して、弁護士の同行により、被害届の提出や刑事告訴を行うのがよいでしょう。

●その場では即答しない

——突然の賠償請求、その場でどう対応すれば良いでしょうか。

相手方から被害を訴えられているご本人はなかなか冷静になれず、落ち着いて考えればおかしいと分かることでも、相手方から強く物を言われている最中には、疑問を感じつつも、相手方が言っているような大変なことになったら困る、家族などに迷惑がかかったらどうしよう、といった心配から、ついつい相手方の不当な要求に応じようとしてしまうことがあります。

このような被害を避けるために心がけて頂きたいのは、相手方から金銭などの要求があった場合、その場での回答はしない、ということです。周りの人や家族に相談してから返事をします、と言うなど、即答を求められても応じないようにして下さい。

そして、本件のように親に相談するといったワンクッションをおけば、例えば弁護士に相談するといった対応も可能となります。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る