8104.jpg
インターネット回線の「解約電話」がつながらない!利用料金はどうなる?
2013年05月22日 22時58分

サポート窓口に何度も電話をかけても、聞こえるのは「ただいま大変混雑しております」という応答メッセージだけ――。インターネット回線などの解約にあたって、腹立たしい思いをした経験はないだろうか。

そもそも、会社によっては解約手続きを電話でしか受けない場合もある。オペレーターとのやりとりを通じて解約を阻止させる狙いなのかもしれないが、手段が限られる分、申込みは集中する。ネットの相談サイトにはインターネット回線の解約電話がかかりづらく、「その間の使用料を請求されるのは腑に落ちない」という利用者の不満の声が寄せられている。

このように、解約を受け付ける会社側の体制に問題があって、電話がつながらない場合、利用者は「本来ならば解約できたはずだった」と主張して、それ以降の支払いを拒否できないだろうか。宮武洋吉弁護士に聞いた。

●解約するためには「解約通知」が運営会社に「到達」しなければいけない

「インターネット回線等の解約を行う方法としては、運営会社との契約に解約方法が定められている場合は、まず、それに従って行うことになります。解約方法としては、電話、メール、郵送等、様々な方法があり得ますが、事例のように、電話でのみ受け付けるとする運営会社もあるようです」

このように宮武弁護士は説明する。では、解約が成立するためには、どんな条件をみたす必要があるだろうか。

「契約を解約するためには、『解約します』という利用者側の意思表示が、相手方(運営会社)に到達していなければなりません。電話がつながらない場合、解約の意思表示が運営会社に到達していませんので、解約はできていません」

つまり、解約が成立するためには、運営会社に「解約の意思表示」が到達しなければいけないが、電話がつながらなければ、その条件はみたせないことになる。「解約できていない以上、電話をかけたあとも、利用料の支払いは拒否できないことになります」というわけだ。

●電話がつながらない場合、解約するにはどうすればいいのか?

しかし、それでは、利用者があまりにも不利だといえる。なにかほかに、利用者がとりうる手段はないのだろうか。宮武弁護士は「消費者契約法」をあげる。「加入者が個人の場合、運営会社との契約に、消費者契約法が適用されます」というのだ。

「消費者契約法10条では、消費者契約(消費者と事業者との間で締結される契約)の条項で、消費者の利益を一方的に害するものは無効とする、と定めています。

今回のケースのような『解約方法を電話のみに限定する』という条項は、実際に電話がかからないという状況に照らせば、消費者契約法10条によって無効とされる可能性があります」

このように、解約方法を電話だけに限定している条項が無効となる可能性を指摘したうえで、宮武弁護士は次のように説明する。

「問題の条項が無効とされた場合、解約方法に限定はなくなりますので、例えば郵送で解約する旨の書面を運営会社に送付して、それが運営会社に到達すれば、それ以降の使用料の支払いは拒否できることになります」

つまり、電話がダメなら、郵送で解約通知を送るという手段が考えられるのだ。しかし、そのような場合でも、解約の意思表示が運営会社に届いて初めて、解約が成立するという点は、注意が必要だ。これからインターネット回線の解約をしようと考えている人は、まず、契約書で解約方法を確認したうえで、どんな手段がとれるか検討してみてほしい。

(弁護士ドットコムニュース)

サポート窓口に何度も電話をかけても、聞こえるのは「ただいま大変混雑しております」という応答メッセージだけ――。インターネット回線などの解約にあたって、腹立たしい思いをした経験はないだろうか。

そもそも、会社によっては解約手続きを電話でしか受けない場合もある。オペレーターとのやりとりを通じて解約を阻止させる狙いなのかもしれないが、手段が限られる分、申込みは集中する。ネットの相談サイトにはインターネット回線の解約電話がかかりづらく、「その間の使用料を請求されるのは腑に落ちない」という利用者の不満の声が寄せられている。

このように、解約を受け付ける会社側の体制に問題があって、電話がつながらない場合、利用者は「本来ならば解約できたはずだった」と主張して、それ以降の支払いを拒否できないだろうか。宮武洋吉弁護士に聞いた。

●解約するためには「解約通知」が運営会社に「到達」しなければいけない

「インターネット回線等の解約を行う方法としては、運営会社との契約に解約方法が定められている場合は、まず、それに従って行うことになります。解約方法としては、電話、メール、郵送等、様々な方法があり得ますが、事例のように、電話でのみ受け付けるとする運営会社もあるようです」

このように宮武弁護士は説明する。では、解約が成立するためには、どんな条件をみたす必要があるだろうか。

「契約を解約するためには、『解約します』という利用者側の意思表示が、相手方(運営会社)に到達していなければなりません。電話がつながらない場合、解約の意思表示が運営会社に到達していませんので、解約はできていません」

つまり、解約が成立するためには、運営会社に「解約の意思表示」が到達しなければいけないが、電話がつながらなければ、その条件はみたせないことになる。「解約できていない以上、電話をかけたあとも、利用料の支払いは拒否できないことになります」というわけだ。

●電話がつながらない場合、解約するにはどうすればいいのか?

しかし、それでは、利用者があまりにも不利だといえる。なにかほかに、利用者がとりうる手段はないのだろうか。宮武弁護士は「消費者契約法」をあげる。「加入者が個人の場合、運営会社との契約に、消費者契約法が適用されます」というのだ。

「消費者契約法10条では、消費者契約(消費者と事業者との間で締結される契約)の条項で、消費者の利益を一方的に害するものは無効とする、と定めています。

今回のケースのような『解約方法を電話のみに限定する』という条項は、実際に電話がかからないという状況に照らせば、消費者契約法10条によって無効とされる可能性があります」

このように、解約方法を電話だけに限定している条項が無効となる可能性を指摘したうえで、宮武弁護士は次のように説明する。

「問題の条項が無効とされた場合、解約方法に限定はなくなりますので、例えば郵送で解約する旨の書面を運営会社に送付して、それが運営会社に到達すれば、それ以降の使用料の支払いは拒否できることになります」

つまり、電話がダメなら、郵送で解約通知を送るという手段が考えられるのだ。しかし、そのような場合でも、解約の意思表示が運営会社に届いて初めて、解約が成立するという点は、注意が必要だ。これからインターネット回線の解約をしようと考えている人は、まず、契約書で解約方法を確認したうえで、どんな手段がとれるか検討してみてほしい。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る