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摘発報道が相次ぐ「あおり運転」 結局、なにをやったらダメなの?
2019年09月22日 09時32分

「あおり運転」による死傷事故やトラブルの報道が相次いでいる。中には「あおり運転」に付随して、相手を殴ったり、エアガンを撃ったりする事件も発生している。

8月10日には、茨城県守谷市の常磐自動車道で、男性があおり運転を受けた後に殴られ、負傷する事件が発生した。傷害容疑で逮捕された会社役員の男性は、新たに強要容疑で再逮捕されたと報じられている。

「あおり運転」の厳罰化を求める声も上がる中、警察庁は「あおり運転」対策のため、道路交通法を改正する方針を固めたという(朝日新聞9月10日など)。

現行法に「あおり運転」そのものを取り締まるための規定はなく、「あおり運転」の定義も明確ではない。しかし、幅寄せや危険な追跡行為は「犯罪」となることもある。

具体的に、どのような行為が「犯罪」となるのだろうか。また、実際に被害を受けた場合はどのように対処すべきなのか。中川龍也弁護士に聞いた。

「あおり運転」による死傷事故やトラブルの報道が相次いでいる。中には「あおり運転」に付随して、相手を殴ったり、エアガンを撃ったりする事件も発生している。

8月10日には、茨城県守谷市の常磐自動車道で、男性があおり運転を受けた後に殴られ、負傷する事件が発生した。傷害容疑で逮捕された会社役員の男性は、新たに強要容疑で再逮捕されたと報じられている。

「あおり運転」の厳罰化を求める声も上がる中、警察庁は「あおり運転」対策のため、道路交通法を改正する方針を固めたという(朝日新聞9月10日など)。

現行法に「あおり運転」そのものを取り締まるための規定はなく、「あおり運転」の定義も明確ではない。しかし、幅寄せや危険な追跡行為は「犯罪」となることもある。

具体的に、どのような行為が「犯罪」となるのだろうか。また、実際に被害を受けた場合はどのように対処すべきなのか。中川龍也弁護士に聞いた。

●幅寄せなどの「あおり運転」は道交法違反、5万円以下の罰金

ーー「あおり運転」としてよくあるのは、車間距離を詰めたり幅寄せしたりする行為だ。このような行為は「犯罪」にあたるのだろうか

「道路交通法は、直前の車両等が急に停止したときに追突するのを避けることができるよう、必要な車間距離を空ける必要があると規定しています。車間を極端に詰めてくる『あおり運転』は、車間距離の保持義務違反(道交法26条)となります。これは5万円以下の罰金に処せられる犯罪行為となります。

高速道路における車間距離の保持義務違反の罰則は、2009年に引き上げられ、3月以下の懲役または5万円以下の罰金に処せられることとなっています」

ーーほかに、どのような行為が「犯罪」にあたる可能性があるのだろうか

「車両が、後方から進行してくる他の車両の進路をさえぎる形で走行した場合には、加害車両は進路変更の禁止違反(道交法26条の2第2項)となります。これは5万円以下の罰金に処せられる犯罪行為となります。

また、暴走族などが、2台以上の自動車またはバイク(原動機付き自転車を含む)を連ねて通行させて、自由な通行を妨害したような場合には、共同危険行為等の禁止(道交法第68条)に該当します。これは2年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられる犯罪行為となります」

●「暴行罪」「危険運転致死傷罪」が認められたケースも

ーー「道路交通法」違反以外に、どのような罪にあたりうるのだろうか

「過去には、危険な追跡行為について、刑法上の暴行(刑法第208条)に該当すると認めた裁判例もあります。

被害車両をしつこく追跡し、時速100キロ程で加速するなど高速度で走行。幅寄せ行為(最短約1メートル以下)を頻繁に行い、被害車両を強引に追い越してその前に斜めに割り込む進路妨害行為を数回行うなどした事案で、『接触さらに交通事故を発生させる危険が極めて高い』として暴行罪を認めました。

重大な交通の危険を生じさせる速度であおり運転を行い、被害者を負傷又は死亡させた場合には、自動車運転死傷行為処罰法の『危険運転致死傷罪』により、人を負傷させた加害者は15年以下の懲役、人を死亡させた加害者は1年以上の有期懲役に処せられることになります。

神奈川県の東名高速道路で、2017年6月、あおり運転の末に夫婦2人が死亡した事件では『危険運転致死傷罪』が適用され、懲役18年が言い渡されました(横浜地裁2018年12月14日判決)。

さらに、堺市南区で2018年7月、あおり運転の末に大型バイクに車を追突させ、バイクの男性を死亡させた事件では『殺人罪』が適用され、懲役16年が言い渡されました。9月11日に大阪高裁は、1審の大阪地裁堺支部判決(裁判員裁判)を支持し、弁護側の控訴を棄却する判決を下しています」

●ドライブレコーダーであおり運転の記録を

ーー実際に、あおり運転の被害にあった場合は、どう対応すればいいのか

「被害者としては、あおり運転の被害を受けたという事実を証拠化しておくことが望ましいです。たとえば、運転する車にドライブレコーダーを搭載しておき、あおり運転を動画で残しておくのも一つの方法です。

ドライブレコーダーを前方にのみ搭載している方が多いですが、後方にも搭載しておきますと、後方からあおり運転をしようとする際に、カメラを加害者へ向けた形になりますから、加害者に対する一定の抑止力も出てくるかと思います。

加害者が執拗にあおり運転を続けてきて、身に危険が及んでいる場合には、同乗者に警察への通報を依頼しましょう。同乗者がいない場合は、窓やドアを開けず車外には出ないようにして、警察官がきてから話をするようにすべきかと思います」

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