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同僚女性に利用される「お人好しの夫」…「相談がある」と昼夜を問わずLINE、妻は激怒
2018年09月19日 09時53分

夫に「相談があります」と言っては、自宅に押し寄せたり、昼夜を問わずメールやラインを送りつけたりする同僚女性のせいで、夫婦関係に悪影響が出てきたーー。東京都内の主婦、マリエさん(40代)が、「ひとの家庭に入り込んでくる女性の行動に問題はないのでしょうか」と弁護士ドットコムニュースに自身の体験を語りました。

マリエさんによれば、その女性は毎日のように夫のスマホを鳴らします。「夫は面倒見がいいので無下に出来ないようです」と言います。一度、メールを見せてもらったところ、内容は夫婦のグチ。相談は仕事に関するものではなく、私生活の相談がほとんど。「メールだけでなく、夜遅い時間や休日に、家出して私たちの自宅に押しかけてくることもありました」と、想像以上の実態を語りました。

迷惑なだけでなく、実害もあります。「家に帰るためのタクシー代を要求されたり、女性の子どもに家具や家電を壊されたりしました」。ところが夫に抗議しても、「かわいそうだから」と繰り返すばかりで頼りになりず、気が休まりません。

このようなケースで離婚はできるのでしょうか。夫婦関係にも影響を与えるほどの関係を築いても、肉体関係がなければ浮気を意味する「不貞」とはならないのでしょうか。加藤泰弁護士に聞きました。

夫に「相談があります」と言っては、自宅に押し寄せたり、昼夜を問わずメールやラインを送りつけたりする同僚女性のせいで、夫婦関係に悪影響が出てきたーー。東京都内の主婦、マリエさん(40代)が、「ひとの家庭に入り込んでくる女性の行動に問題はないのでしょうか」と弁護士ドットコムニュースに自身の体験を語りました。

マリエさんによれば、その女性は毎日のように夫のスマホを鳴らします。「夫は面倒見がいいので無下に出来ないようです」と言います。一度、メールを見せてもらったところ、内容は夫婦のグチ。相談は仕事に関するものではなく、私生活の相談がほとんど。「メールだけでなく、夜遅い時間や休日に、家出して私たちの自宅に押しかけてくることもありました」と、想像以上の実態を語りました。

迷惑なだけでなく、実害もあります。「家に帰るためのタクシー代を要求されたり、女性の子どもに家具や家電を壊されたりしました」。ところが夫に抗議しても、「かわいそうだから」と繰り返すばかりで頼りになりず、気が休まりません。

このようなケースで離婚はできるのでしょうか。夫婦関係にも影響を与えるほどの関係を築いても、肉体関係がなければ浮気を意味する「不貞」とはならないのでしょうか。加藤泰弁護士に聞きました。

●「不貞」には該当しない

「よく言えば、お人好しのご主人さん、となるのでしょうか。でも、確かにこれは困りますね」

不貞には該当しないのでしょうか。

「結論からいうと不貞には該当しません。ただ、不貞に該当しないからといって、即、離婚できないかといえば、そうではありません。

相談者は離婚を希望しているようなので、まず法的な離婚理由の1つである不貞になるかどうか、について整理しましょう。不貞行為は民法770条1項1号に定められた、法的に離婚ができる理由の1つです。

補足しておきますと、770条でいう不貞行為があれば、離婚訴訟で勝訴判決、すなわち離婚を命じる判決が得られることになります。ただし、裁判所に一定の裁量がありますので、不貞があったとしても確実に離婚できるわけではありません」

では今回の相談者の例ではどうでしょうか。

「民法770条の不貞行為が何を指すかについては、やや漠然としていますが、基本的には性交を指すと理解しておいて間違いはないと思います」

つまり、マリエさんのケースでは該当しないということでしょうか。

「そうです。不貞行為ではないということになります。不貞行為と調停や裁判の場で主張することは出来ません」

●マリエさんが「離婚できる可能性はある」

では夫側が話し合いでの離婚を拒否し、裁判所で離婚を決めることになった場合には、離婚が認められない可能性もあるのでしょうか。

「いえ、お人好しにもほどがありますので、マリエさんが離婚できる可能性はあると思います」

どうしてでしょうか。

「実は、先ほどご紹介した民法770条ですが、不貞行為以外にも離婚原因を定めています。770条1項5号には『その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき』という条項が設けられています。

見ての通りずいぶんと抽象的な条項です。実際に明確な事例はなく、不貞に匹敵するようなことだったり、あるいは婚姻関係の深刻な破綻だったりを含む概念と言われています」

ケースバイケースの判断になるのですね。

「マリエさんのケースでは、夫の行動は、同僚女性に対しては非常に優しいとは思います。しかし、マリエさんや家族の気持ちをあまりにないがしろにしており、夫婦間の信頼関係を破壊する行動とも言えそうです。

様々な諸事情を総合して判断することにはなりますが、結婚・離婚に対する社会通念の変化にあわせて裁判所の判断も緩やかになっているように感じますし、5号による離婚を裁判所が認める場合もあるのではないかと思います」

(弁護士ドットコムニュース)

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