823.jpg
タンスにバナナを放置、食べ残しをひっくり返す「モノにあたる」夫に悩む妻 精神的DVへの対処法は
2025年06月09日 09時51分

夫が怒ると、モノにあたってくる——。そんな相談が弁護士ドットコムに寄せられました。

相談者によると、相談者の夫は日常生活の中で不満があると、「モノにあたる」そうです。

たとえば、夕食の食べ残しやお酒などを食卓へひっくり返す、タンスに洗濯用洗剤などを撒き散らすといった行動をしているようで、先日はタンスの中にバナナを投げ込み、タンスが異様な臭いになってしまったといいます。

相談者はこうした夫への対処法が知りたいそうです。このような「モノにあたる」行動には、法的にどのような対応が可能なのでしょうか。濵門俊也弁護士に聞きました。

夫が怒ると、モノにあたってくる——。そんな相談が弁護士ドットコムに寄せられました。

相談者によると、相談者の夫は日常生活の中で不満があると、「モノにあたる」そうです。

たとえば、夕食の食べ残しやお酒などを食卓へひっくり返す、タンスに洗濯用洗剤などを撒き散らすといった行動をしているようで、先日はタンスの中にバナナを投げ込み、タンスが異様な臭いになってしまったといいます。

相談者はこうした夫への対処法が知りたいそうです。このような「モノにあたる」行動には、法的にどのような対応が可能なのでしょうか。濵門俊也弁護士に聞きました。

●物に当たる行為はDVになるのか?弁護士が答える

――物に当たる行為はDVに該当するのでしょうか?

物に当たる行為は、精神的DVに該当する可能性があり、被害者に深刻な影響を与えることがあります。

物に当たる行為は、単なるストレス発散ではなく、相手を威圧し、支配しようとする意図が隠れていることが多いです。とくに威嚇するような乱暴な態度で物を壊すこと、例えば壁を殴ったり皿を投げたりする行為は問題です。

また、大切なものを狙って破壊する、つまり相手の思い入れのある物を壊すことや、怒鳴ることで相手を精神的に追い詰める行為も該当します。さらに、物を壊した後に片付けを相手に押し付けたり、「やめてほしい」と伝えても繰り返したりする場合も、DVにあたる可能性が高いです。

――なぜこのような行為をしてしまうのでしょうか?

物に当たる行為をする人には、いくつかの心理的特徴があることが多いです。まず自尊心の低さが挙げられます。自分の価値を認められず、力を誇示するために物を壊すのです。また、コミュニケーション能力の不足も要因の一つで、言葉で感情を表現できず、物に当たることで気持ちを伝えようとします。

ストレス耐性の低さから怒りを適切に処理できず衝動的に物に当たったり、支配欲の強さから相手をコントロールしようとしたりすることもあります。幼少期のトラウマが影響し、過去の経験から暴力的な行動を取る場合もあります。

●被害者への影響と対処法

――被害者にはどのような影響があるのでしょうか?

精神的DVは、身体的暴力と同様に深刻な影響を及ぼします。恐怖や不安が蓄積し、加害者の行動に怯えて安心できない生活を送ることになります。自己肯定感も低下し、「自分が悪いのではないか」と思い込むようになります。

健康への悪影響も深刻で、ストレスによる体調不良や精神的な疾患、うつ病や不安障害などを発症することもあります。子どもがいる家庭では、家庭内の暴力を見て育つことで、子ども自身が同じ行動を取る可能性もあります。

――このような状況に悩んでいる場合、どう対処すればよいでしょうか?

専門家への相談や証拠の確保が重要です。まず安全な場所の確保が必要で、危険を感じたら避難できる場所を確保してください。

証拠の収集も大切で、録音・録画・写真などを記録し、後の法的手続きに備えることをお勧めします。専門家への相談先としては、配偶者暴力相談支援センター、警察の相談窓口、弁護士事務所、カウンセリングセンター、NPO法人の支援団体などがあります。

物に当たる行為がエスカレートすると、直接的な暴力へと発展するケースもあるため、早めの対応が推奨されます。安全を確保しつつ、適切な支援を受けることが大切ですね。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る