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阪大さん、緊張感なさすぎません? 今度は「いびき」、受験生ができる法的請求を考える
2018年01月17日 10時50分

受験生の努力を踏みにじる「不祥事」を起こしたと言っても過言ではない大阪大学。関西を代表する名門に対し、あまりにも緊張感がなさすぎないか、といった批判が出ている。

政府も困った様子だ。林芳正・文部科学大臣は1月16日の会見で「大変遺憾だと考えている。昨日、大学に対してはいっそう緊張感を持って入試業務に取り組むよう厳しく指導を行った」と述べた。

受験生の努力を踏みにじる「不祥事」を起こしたと言っても過言ではない大阪大学。関西を代表する名門に対し、あまりにも緊張感がなさすぎないか、といった批判が出ている。

政府も困った様子だ。林芳正・文部科学大臣は1月16日の会見で「大変遺憾だと考えている。昨日、大学に対してはいっそう緊張感を持って入試業務に取り組むよう厳しく指導を行った」と述べた。

●センター試験中、試験監督が「いびき居眠り」

まず、試験監督のいびき居眠り問題。阪大によると、センター試験の初日だった2018年1月13日、会場となった大阪大豊中キャンパスで試験監督(タイムキーパー役)を務めた40代の大学院高等司法研究科の教授が、2時間目の国語の時間に、いびきをかきながら居眠りしていたことが発覚した。

会場には約70人の受験生がおり、別の試験監督が注意したことで、いびきと居眠りはストップしたという。阪大人事課の担当者は「1回数秒のいびきが数回、トータル1分以内で、注意されてからは立ったまま監督者としての務めを果たした」と説明する。

試験後、受験生が「いびきがあった」と指摘したほか保護者を名乗る人物から、「いびきをかいていて実力が出せなかった」などと抗議の電話があり、阪大はこの教授や他の試験監督らに事情聴取。この教授は事実関係を認め、「前日に遅くまで研究をしていて、睡眠時間が短かった」と話したという。

●阪大、試験監督の教授を訓告処分。再試験は「必要なし」

1月15日、阪大はこの教授を訓告処分としたと発表。阪大人事課や大阪大学教職員就業規則によると、訓告処分は、減給や停職といった懲戒処分に比べて軽い処分だ。それでも、「今後の賞与や昇給には影響が出るだろう」(担当者)としている。

一方、阪大では今後の対応を協議し、いびきの時間が長くなかったことなどを理由に、「生活騒音に類するもので再試験の必要なし」と判断。その旨、大学入試センターに報告した。

阪大は、昨年の入試ミスで本来合格していた30人が不合格としていた問題を1月6日に謝罪したばかり。阪大人事課の担当者は弁護士ドットコムニュースの取材に「この度はご迷惑をおかけしてばかりで大変申し訳ございません」と話している。

限られた試験時間内に最善を尽くすプレッシャーと戦う受験生に影響を与えかねない今回のいびき居眠り行為に対し、受験生が法的な救済を求める余地はないのか。西口竜司弁護士に見解を聞いた。

●再試験や点数を上げるのは「難しい」

「報道を聞いた時、信じられないという気持ちになりました。受験生が人生をかけて必死で試験に臨んでいるときにあり得ない行動だと思います。今回は法的な問題について触れたいと思います」

今回の行為によって影響を受けた受験生を救済できないのか。

「試験のやり直しや点数を上げるといった措置をとるのは難しいと思います。このような問題があった場合、受験生としては他の試験監督等に手を挙げて注意を促すこと等の自衛手段をとることになります」

●損害賠償請求をするハードルは高い

「他方、影響を受けた受験生が、例えば、当該教授(試験監督)に対して損害賠償請求をすることができるのかが問題となります。

民法709条に基づく損害賠償請求が考えられますが、何をもって「損害」とするのか、金額の算定ができるのか、教授の居眠りと得点減少との間に因果関係が認められるのか等、非常に難しいところです。現実的な救済手段とはいえないでしょう」

結局、受験生の側から法的措置をとるのは難しいということか。

「おかしいことがあれば、すぐに抗議する等の自衛措置をとるしかないでしょう。身もふたもない答えになってしまいましたが、受験生の皆さん、入試はここからが本番。風邪など引かずに実力を発揮してください。心から応援させて頂きます。そして、今回のようなことが二度と発生しないようにして頂きたいと思います」

(取材:弁護士ドットコムニュース記者 下山祐治)早稲田大卒。国家公務員1種試験合格(法律職)。2007年、農林水産省入省。2010年に朝日新聞社に移り、記者として経済部や富山総局、高松総局で勤務。2017年12月、弁護士ドットコム株式会社に入社。twitter : @Yuji_Shimoyama

(弁護士ドットコムニュース)

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