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「訴訟最終告知のお知らせ」架空請求ハガキ、「ツッコミどころ満載」だけどご用心
2018年04月21日 08時41分

実在しない法務省の組織を語るハガキを送りつけ、金銭をだまし取ろうとする手口がなくならない。実際に金銭を支払ってしまった事例もあるという。法務省や各地の消費者団体、弁護士らが被害の根絶に向けて注意を呼びかけている。

実在しない法務省の組織を語るハガキを送りつけ、金銭をだまし取ろうとする手口がなくならない。実際に金銭を支払ってしまった事例もあるという。法務省や各地の消費者団体、弁護士らが被害の根絶に向けて注意を呼びかけている。

●詐欺グループ、名簿もとに大量のハガキ送りつけ?

ハガキの文面は、法律に馴染みの薄い人が読めば、心配になりそうな書きぶりだ。「連絡がない場合は財産の差し押さえを強制的に執行する」などといった不安を煽るような表現で、本人からの連絡を一方的に求める内容となっている。差出人は「法務省管轄支局 国民訴訟お客様管理センター」や「法務省管轄支局 国民訴訟通達センター」などと記載される。

記載されている電話番号に連絡をすると、弁護士などの紹介費用と称して、プリペイドカードなどを使わせて金銭をだまし取る手口が報告されている。弁護士らの見立てでは、出回る名簿を入手した「詐欺グループ」が全国的に大量のハガキを送りつけているとみられる。

愛知県では2018年2月下旬から、上記ハガキに関する相談が急増しているとしてホームページなどで注意喚起。60代女性から「突然自宅に届いた。全く身に覚えがないが、どのように対応したらよいか」と相談が寄せられたという。県では「無視してください」「ハガキ記載の窓口に連絡しないでください」などとアドバイスした。

●架空請求の相談急増、「ハガキは破いてゴミ箱に」

国民生活センターによると、こうしたハガキによる手口を含む架空請求全般の相談件数は、急激に増えている。2015年度と2016年度は年間8万件強だったのが、2017年度は18万2879件にのぼった。担当者は「一気に増えた原因のひとつは、ハガキによる架空請求だろう」と話す。なぜここにきてハガキを使った手口が増えたかは不明だという。

各地の弁護士も注意を呼びかける。ブログで注意喚起をしている岡山弁護士会の大山知康弁護士(ゆずりは新見法律事務所)は次のように話す。

「正式な裁判手続きの通知がハガキで来ることはありませんので、ハガキで裁判所や法務省などを装う内容のものは全て詐欺です。ですので、直ぐに破いてゴミ箱に捨ててください。ハガキを送ってきている集団は詐欺(犯罪行為)と分かって行っていますので、一度支払ったお金は戻ってきません。

お金を支払うつもりが無くても、電話をしてしまうと、騙されやすい人として詐欺集団のリストに載ってしまいます。その後、電話やハガキによる架空請求などの詐欺のターゲットになってしまいますので、電話もしないでください。弁護士から見るとツッコミどころ満載の内容のハガキですが、内容の怪しさがかえって一般市民の不安をかきたてるのだと思います」

(取材:弁護士ドットコムニュース記者 下山祐治)早稲田大卒。国家公務員1種試験合格(法律職)。2007年、農林水産省入省。2010年に朝日新聞社に移り、記者として経済部や富山総局、高松総局で勤務。2017年12月、弁護士ドットコム株式会社に入社。twitter : @Yuji_Shimoyama

(弁護士ドットコムニュース)

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