8348.jpg
最高裁の判決「,」から「、」に弁護士も目がテン…変更したワケは?
2022年04月28日 13時53分

最高裁判決の判決書の点が、「,(カンマ)」ではなく「、(テン)」になっている——。新年度に入り、こんなツイートが法曹界を賑わせた。

最高裁判所に取材したところ、2022年4月11日から裁判官の申し合わせにより、判決を作成する際、原則として読点は「、」を用いることとしたという。

これにともない、裁判所ウェブサイトに掲載される最高裁判例の本文も同じように表記しており、実際に「,」ではなく「、」を用いた最高裁判例が掲載されたのは、4月12日付の判決からだという。

最高裁判決の判決書の点が、「,(カンマ)」ではなく「、(テン)」になっている——。新年度に入り、こんなツイートが法曹界を賑わせた。

最高裁判所に取材したところ、2022年4月11日から裁判官の申し合わせにより、判決を作成する際、原則として読点は「、」を用いることとしたという。

これにともない、裁判所ウェブサイトに掲載される最高裁判例の本文も同じように表記しており、実際に「,」ではなく「、」を用いた最高裁判例が掲載されたのは、4月12日付の判決からだという。

●公用文作成の基準、70年ぶりに変わる

変更の理由について、最高裁は「内閣官房長官から参考送付された公用文作成の考え方(文化審議会の建議)を参考に、公用文である裁判書について、読点に『、』を用いることとした」とコメントした。

「公用文作成の考え方」は2022年1月7日、政府における公用文作成の手引きとして、文化庁の文化審議会が文部科学相に建議した。1951年に通知が出された「公用文作成の要領」に代わるもので、横書きの読点は、「、」を用いることを原則とすることが記載されている。

●2016年の弁護士アンケート「、」が最多

ちなみに、弁護士ドットコムニュースでは2016年、弁護士ドットコムに登録する弁護士たちに「、」と「,」をどう使い分けているのか意見を聞いたことがある

投票した39人のうち、「法律文書も含め、作成する文章は全て『、』を使用する」が17人と最も多く、次いで「訴状など法律文書に限らず、作成する文章は全て『,』を使用する」が14人だった。

「、」派の意見としては、「テン」の方が読みやすく馴染み深いというものがみられた。

『私は、日本語であるということと、依頼者の方にとって読みやすいという理由で「、」を使っています。しかし、文書は内容なので、形式にこだわらなくていいじゃないか、どちらでもよいじゃないかというのが私の本音です』(武山茂樹弁護士)

『日本語として「、」の方が違和感がないという理由と、一般の方に馴染みのある用法の方がよいと思うので使用しています。 裁判所では「,」が通常であることも知っていますが、「、」も許されるということも知っているので、特に問題ないと考えています』(川島英雄弁護士)

「,」派は、「裁判所の判決の表記に合わせている」という理由が目立った。

『元々は裁判所の判決などの表記にあわせて「,」を使用していましたが,そのうちに,「,」でないと落ち着かなくなって,裁判所用文書以外でも「,」を使っています』(秋山直人弁護士)

『裁判所に提出する文書で「,」を使うことから、普段から「,」に統一することで癖を体に染み込ませています。なぜ日本語の文書で「,」を使うのかは正直良くわかりませんが、「形式とはそういうもので理由などないのだ」と受け止めて深く考えておりません』(石井康晶弁護士)

今後、裁判所の判決の表記が変わることで、弁護士の間でも「、」派が圧倒的になるかもしれない。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る