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「個人情報」を流出させた企業が払うべき「慰謝料」の相場はいくら?
2013年09月26日 15時50分

個人情報の流出が後を絶たない。

ITサービス会社のコムテックは9月13日、通販受注代行システムに対して、外部からの不正アクセスがあったと発表。2006年3月~13年6月にかけて、個人名やクレジットカード情報、購入商品名などを含む情報約2万3000件が不正閲覧できる状態にあったとした。

8月にも、インターネット掲示板「2ちゃんねる」を利用していたユーザー約3万人のクレジットカード、個人名、住所などの個人情報が流出。最近話題になったものだけでも、エアガン通販サイトの顧客情報漏れや、グーグルグループ経由の個人情報流出、ウェブホスティングサービスのユーザー情報漏れなど、枚挙にいとまがない。

このように、企業や組織を信頼して個人情報を預けているにも関わらず、自分の情報が流出してしまった場合の「損害賠償額」に、相場のようなものはあるのだろうか。また、流出した情報の種類によって賠償額も変わるのだろうか。インターネットに関する法律問題にくわしい清水陽平弁護士に聞いた。

●流出しているのは「氏名・住所・電話番号」などの単純な情報が多い

「こういった『事件』で、流出する情報というのは、もっぱら氏名、住所、電話番号等であろうと思います。こういった情報は、日常的に利用されることに意味のあるもので、本来一定範囲の他人にも当然開示すべき、単純な情報に過ぎないともいえます。

ただし、そういった情報も『みだりに開示されたくない』と考えられているのが、いまの社会通念だといえます。そこで、氏名や住所、電話番号などの情報にもプライバシー権による保護が与えられるようになっています」

●情報流出の慰謝料は「低額にとどまることが多い」

「このような考えが底流にあるためか、情報流出による慰謝料は低額にとどまることが多いです。

たとえば、個人連番の住民番号、住所、氏名、性別、生年月日、転入日、転出先、世帯主名、世帯主との続柄等の情報が流出した宇治市住民基本台帳データ漏洩事件(大阪高裁平成13年12月 25日判決)において認められた慰謝料は、1件あたり1万5000円でした。

また、住所、氏名、電話番号、メールアドレス等の情報が流出した事件(大阪地裁平成18年5月19日判決)においては、1件あたり5000円の慰謝料が認められています」

●情報の「内容」がセンシティブになるほど慰謝料額も上がる

「一方、氏名、住所、電話番号のほか、『関心を持っているコースについての情報』が流出したエステティックホームページ個人情報流出事件(東京高裁平成19年8月28日判決)では、3万円の慰謝料が認められています。

このように、内容がセンシティブな情報であるほど慰謝料額が増加するという関係にあります。たとえば、クレジットカード情報が合わせて流出すれば、氏名、住所等だけのケースよりも慰謝料が高くなるといえます。

また仮に、身体に関すること(たとえば医療情報など)が流出した場合、慰謝料はさらに高額になる可能性が高いです。そうした情報は本来他人に知られたくない、よりセンシティブな情報だからです」

●1件1件は少額でも、流出件数によっては賠償総額が億単位になる

「こういった例を見てもらえれば、情報内容によって若干の差は出てくるものの、おそらく多くの方が考えるような高額の慰謝料は認められないということが分かります。

しかし、企業側に立ってみれば、1件1件はそれほど高額ではないにしろ、流出した件数が多ければ、それだけ賠償額は膨らむことになります。数百万円、場合によっては数億円といった負担が生じるリスクについて、企業は十分認識しておいた方がよいと思います」

なるほど、件数次第で慰謝料総額は莫大な金額になりうるということだ。被害者ひとりひとりからすれば、ずいぶんと安く見積もられている感はぬぐえないが……。

ただし、この「相場」は、他人のプライバシーをあえて侵害したようなケースでは、大きく異なるようだ。清水弁護士はこう話を締めくくった。

「同じプライバシー侵害と言っても、他人のプライバシーに関することをあえて公開したような場合には、情報内容にもよりますが、1件で数万円から100万円程度の慰謝料が認められることがあります」

(弁護士ドットコムニュース)

個人情報の流出が後を絶たない。

ITサービス会社のコムテックは9月13日、通販受注代行システムに対して、外部からの不正アクセスがあったと発表。2006年3月~13年6月にかけて、個人名やクレジットカード情報、購入商品名などを含む情報約2万3000件が不正閲覧できる状態にあったとした。

8月にも、インターネット掲示板「2ちゃんねる」を利用していたユーザー約3万人のクレジットカード、個人名、住所などの個人情報が流出。最近話題になったものだけでも、エアガン通販サイトの顧客情報漏れや、グーグルグループ経由の個人情報流出、ウェブホスティングサービスのユーザー情報漏れなど、枚挙にいとまがない。

このように、企業や組織を信頼して個人情報を預けているにも関わらず、自分の情報が流出してしまった場合の「損害賠償額」に、相場のようなものはあるのだろうか。また、流出した情報の種類によって賠償額も変わるのだろうか。インターネットに関する法律問題にくわしい清水陽平弁護士に聞いた。

●流出しているのは「氏名・住所・電話番号」などの単純な情報が多い

「こういった『事件』で、流出する情報というのは、もっぱら氏名、住所、電話番号等であろうと思います。こういった情報は、日常的に利用されることに意味のあるもので、本来一定範囲の他人にも当然開示すべき、単純な情報に過ぎないともいえます。

ただし、そういった情報も『みだりに開示されたくない』と考えられているのが、いまの社会通念だといえます。そこで、氏名や住所、電話番号などの情報にもプライバシー権による保護が与えられるようになっています」

●情報流出の慰謝料は「低額にとどまることが多い」

「このような考えが底流にあるためか、情報流出による慰謝料は低額にとどまることが多いです。

たとえば、個人連番の住民番号、住所、氏名、性別、生年月日、転入日、転出先、世帯主名、世帯主との続柄等の情報が流出した宇治市住民基本台帳データ漏洩事件(大阪高裁平成13年12月 25日判決)において認められた慰謝料は、1件あたり1万5000円でした。

また、住所、氏名、電話番号、メールアドレス等の情報が流出した事件(大阪地裁平成18年5月19日判決)においては、1件あたり5000円の慰謝料が認められています」

●情報の「内容」がセンシティブになるほど慰謝料額も上がる

「一方、氏名、住所、電話番号のほか、『関心を持っているコースについての情報』が流出したエステティックホームページ個人情報流出事件(東京高裁平成19年8月28日判決)では、3万円の慰謝料が認められています。

このように、内容がセンシティブな情報であるほど慰謝料額が増加するという関係にあります。たとえば、クレジットカード情報が合わせて流出すれば、氏名、住所等だけのケースよりも慰謝料が高くなるといえます。

また仮に、身体に関すること(たとえば医療情報など)が流出した場合、慰謝料はさらに高額になる可能性が高いです。そうした情報は本来他人に知られたくない、よりセンシティブな情報だからです」

●1件1件は少額でも、流出件数によっては賠償総額が億単位になる

「こういった例を見てもらえれば、情報内容によって若干の差は出てくるものの、おそらく多くの方が考えるような高額の慰謝料は認められないということが分かります。

しかし、企業側に立ってみれば、1件1件はそれほど高額ではないにしろ、流出した件数が多ければ、それだけ賠償額は膨らむことになります。数百万円、場合によっては数億円といった負担が生じるリスクについて、企業は十分認識しておいた方がよいと思います」

なるほど、件数次第で慰謝料総額は莫大な金額になりうるということだ。被害者ひとりひとりからすれば、ずいぶんと安く見積もられている感はぬぐえないが……。

ただし、この「相場」は、他人のプライバシーをあえて侵害したようなケースでは、大きく異なるようだ。清水弁護士はこう話を締めくくった。

「同じプライバシー侵害と言っても、他人のプライバシーに関することをあえて公開したような場合には、情報内容にもよりますが、1件で数万円から100万円程度の慰謝料が認められることがあります」

(弁護士ドットコムニュース)

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