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パチンコに「革命機」登場、釘読みから「設定」の時代へ…元パチプロ弁護士が徹底解説
2018年07月24日 09時50分

パチンコ業界に大きな異変が起ころうとしている。パチスロ同様「設定」が入った機器が導入されるのだ。

「設定」とは、簡単に言うと、機械側で当たる確率が変動するというもの。これまで、プレーヤーは釘の並びから「回る台」(チャンスが多い台)を探してきたが、「釘読み」の重要性がなくなっていく可能性がある。

設定機の第1号は、SANKYOの「Pフィーバー革命機ヴァルヴレイヴW」。ロボットアニメとタイアップした機種で、8月20日からの導入が予定されている。

設定機導入の背景には、今年2月1日に施行された「風営法」の改正規則(風営適正化法施行規則及び遊技機規則)がある。今後、業界がどう動いていくかについて、元パチプロでパチンコメーカーに勤務経験もある飛渡貴之弁護士に聞いた。

パチンコ業界に大きな異変が起ころうとしている。パチスロ同様「設定」が入った機器が導入されるのだ。

「設定」とは、簡単に言うと、機械側で当たる確率が変動するというもの。これまで、プレーヤーは釘の並びから「回る台」(チャンスが多い台)を探してきたが、「釘読み」の重要性がなくなっていく可能性がある。

設定機の第1号は、SANKYOの「Pフィーバー革命機ヴァルヴレイヴW」。ロボットアニメとタイアップした機種で、8月20日からの導入が予定されている。

設定機導入の背景には、今年2月1日に施行された「風営法」の改正規則(風営適正化法施行規則及び遊技機規則)がある。今後、業界がどう動いていくかについて、元パチプロでパチンコメーカーに勤務経験もある飛渡貴之弁護士に聞いた。

●改正で導入が決まった「設定機」

飛渡弁護士は改正規則について、「射幸性を低くするための改正」と説明する。

その主な内容は、パチンコの出玉を3分の2程度に抑えたことだ。お金に換算すると、平均プレー時間(4時間)で最大十数万円儲かっていたところを、5万円以下にするのが目的だという。

具体的には、大当たり時の最大ラウンドが16Rから10Rに引き下げられ、最大出玉が1500個になった。

「パチンコを売るためには型式試験に合格する必要があるのですが、改正に伴い、新たな試験方法が追加され、時間当たりの出玉性能を確認するようになりました」

その他の大きな変更として上げられるのが、パチスロのように設定ができるようになったこと。これにより、「Pフィーバー革命機ヴァルヴレイヴW」のような設定機が誕生した。

「どうでもいい変更ですが、機種名の頭についていた(型式表示の)『CR』が『P』に変わりました」

CRとは(プリペイド)カードリーダーを指す。しかし、飛渡弁護士によると、最近はCR機でもカードリーダーはほとんど使われず、現金でプレーされることが多いという。一方、Pは「ぱちんこ」のことだ。

●国会で問題視された「釘調整」、確率は「設定」で変えることに

さて、なぜ設定が必要になったかというと、「釘」の問題があったからだ。

「釘はなんのためにあったかというと、出玉調整をするためでした。主に(玉が入る)『チューリップ』の上二つの釘と大当たりの入賞口周りの釘を触ることで、出玉調整をしていました。建前はダメと言いながら、実際は当たり前に触っていたんです」

しかし、2015年、国会でパチンコの釘調整が問題視される。

「釘が本当に触れなくなれば、パチンコホールがパチンコの出玉調整をすることができません。そんなことになると、(出玉の数が) 出る台と出ない台が変えられなくなります。

出ない台とお客さんにバレたらだれも座りませんし、出る台と分かれば取り合いになります。それではパチンコホールが営業できません」

そこで出てきたのが、設定の導入だ。「それならまあ結局変わらないからいいかと思われるかもしれませんが、元パチプロで勝つためにパチンコしていた私が思うに全然違います」と飛渡弁護士は「業界の変化」を予言する。

「なぜなら、スロットは3枚入れてレバーを倒せば必ずリールが回ります。しかし、パチンコは、『チューリップ』に入らないことには回りません。

そして、機械で釘を打ってはいますが、全く同じ釘であるように見えても、多少の誤差がありますし、(玉の)発射装置にも誤差があります。つまり、同じ金額を投下しても、回る回数が確実に変わります。

これに加えて、今後は外観からまったくわからない、設定による確率操作ができてしまいます。結局、昔よりさらに不確実性が増えてしまい、理論的に勝てるはずでも、短期的に勝てないリスクが高くなります。

そうだすると、パチプロはすでに相当厳しい状況でしたが、今後は無理でしょう」

●より長く遊べる方向に進むパチンコ業界

これまでは釘を読むことは、人と差をつける手段だった。しかし、今後、設定機が広がって行くと、攻略の難易度はさらに増し、確実に儲けるのは相当困難になることが予測される。しかも、出玉規制により、儲けの上限がかなり低くなってしまった。

「射幸性を抑える流れが続いたことで、昔のように1時間たって後ろを向いたらドル箱をめっちゃ積んでる人がいる、なんてことはもはやなくなりました。

大勝ちもできないけど、大負けもしない。パチンコをギャンブルというよりも、ゆっくり時間をかけて楽しむゲームにしていこうということですね」

規制によるものではないが、こうした流れ自体は昔から存在する。パチンコ業界では2006年ごろから、「1パチ」と呼ばれる低レートの台が登場した。通常は4円で1玉だから、4倍長く遊べるというものだ。200円で688玉(1玉0.3円)など、より低レートの台も存在する。

●「ゲーム性のあるギャンブル」から「ギャンブル性のあるゲーム」へ

パチンコの将来について、飛渡弁護士は次のように語る。

「パチンコは、『ゲーム性のあるギャンブル』ではなく、『ギャンブル性のあるゲーム』として楽しむものという位置になったと感じます。私が、パチンコメーカーにいた13年前とは比べ物にならないくらい機械の販売台数は減り、パチンコ―ホールもたくさん倒産しました。

IR法も成立し、日本にもカジノができます。20年前は、朝パチンコホールに並んで開店待ちしていたのは、学生かそれに近い若者が大半でした。しかし、今は、高齢者や中高年の方が多い。

今後、パチンコ業界は、若者にパチンコしてもらうために、ゲーム性への工夫を強く求められるでしょう。もし業界全体が、パチンコの変わりゆく地位を認めず、現行の規則の抜け道を探して射幸性を求めていると、ますますパチンコ人口が減少していくのではないかと思います」

(弁護士ドットコムニュース)

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