846.jpg
顔にビンタ、膝蹴り10回で「人生を狂わされた」子どものいじめ、慰謝料はいくら?
2021年05月06日 09時48分

自分の子どもをいじめた子から慰謝料を取りたい——。こんな相談が、弁護士ドットコムに寄せられました。

ある日、相談者の子どもは、顔にビンタ、太ももに膝蹴りを10回ほどされて帰ってきました。実は、半年ほど前から、同じクラスの子どもからいじめを受けていたのです。

その子どもとは、外部のスポーツクラブも一緒でした。学校やクラブで「デブ」などと悪口を言われたり、手を出されたりした結果、相談者の子どもはいじめが原因でスポーツクラブをやめました。

相談者は「子どもの人生を狂わされた償いとして、慰謝料を払ってもらいたい」と考えています。

このようなケースでは、後からでも暴行の診断書を発行してもらった方が良いのでしょうか。また、慰謝料はどのくらいになるのでしょうか。高橋知典弁護士の解説をお届けします。

自分の子どもをいじめた子から慰謝料を取りたい——。こんな相談が、弁護士ドットコムに寄せられました。

ある日、相談者の子どもは、顔にビンタ、太ももに膝蹴りを10回ほどされて帰ってきました。実は、半年ほど前から、同じクラスの子どもからいじめを受けていたのです。

その子どもとは、外部のスポーツクラブも一緒でした。学校やクラブで「デブ」などと悪口を言われたり、手を出されたりした結果、相談者の子どもはいじめが原因でスポーツクラブをやめました。

相談者は「子どもの人生を狂わされた償いとして、慰謝料を払ってもらいたい」と考えています。

このようなケースでは、後からでも暴行の診断書を発行してもらった方が良いのでしょうか。また、慰謝料はどのくらいになるのでしょうか。高橋知典弁護士の解説をお届けします。

●解説のポイント

・診断書は傷が残っていれば後からでも発行してもらえる ・暴行を受けたらすぐに診察を ・慰謝料は数十万円にもいかない可能性がある

●実際にかかった費用を計算する

今回の事例ですと、速やかに診断書を発行してもらい、実際にかかった費用をきっちりと計算してから、示談を進めていくべきでしょう。

「診断書は後から発行してもらえるか」については、(1)通院は当時にしているが、診断書は発行してもらわなかった場合と、(2)そもそも通院もしていない場合で異なります。  医師には診断書を発行する義務があるため、通院していれば、費用はかかりますが事後的であっても(1)のような場合には診断書を発行してもらえます。

(2)の場合には、直ちに診断書を作成してもらうことはできませんが、傷が残っている状態であれば診察をしてもらってから診断書の発行も可能でしょう。

ただし、事件以外の理由で怪我をしたのではないかと言われてしまう可能性もありますので、暴力事件があったならできるだけ速やかに診察を受けた方がいいです。

●慰謝料は厳しい判断になりやすい

——慰謝料の金額はどのくらいになるのでしょうか

慰謝料は、「子どもの人生を狂わされた償いのために」という希望を叶えるほどの金額は難しいのが現状です。

後遺症があったり学校をやめたりした事例でもない限り、数十万円もいかない可能性があります。やはり、子ども同士の事件の場合、損害の算定に大人の場合の年収のような指標がないために、厳しい判断になりやすいものと考えられます。

——他にできることはありますか

これまで厳しいことをお伝えしてきましたが、諦めるのは早いと思います。

お子さん本人は、いわれのない暴力を振るわれ、大事にしてきたスポーツクラブもやめたために、「被害者が逃げるのか」「弱いから負けてしまったんだ」という悔しい気持ちでいると思います。過去、私もいじめを受けたときにはこうした感情に苦しみました。

こうした場合、加害者に対する学校や警察からの指導や捜査、スポーツクラブでの処分などを経て「暴力は許されない」「自分は負けたわけではない」と感じ、自尊心を取り戻すことにつながることがあります。

今回のように、保護者が何か子どものためにできないかと頑張る姿も、お子さんは見ていて勇気をもらうことがあります。慰謝料請求に限らず何かできることはないか、弁護士にも相談するのはいかがでしょうか。

弁護士に無料相談する

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る