8518.jpg
「法的に、政治的に、経済的に間違っている」憲法学者らが安保法制法案「撤回」訴える
2015年05月15日 20時37分

政府は5月15日、集団的自衛権の行使を可能にすることを盛り込んだ安全保障法制の関連法案を国会に提出した。このことを受けて、憲法学者や弁護士、元官僚らでつくる「国民安保法制懇」は同日、衆議院第一義員会館で記者会見を開き、法案の撤回を求める声明を発表した。

会見で、憲法学者の小林節・慶應義塾大学名誉教授は、「安保法制は、法的に、政治的に、経済的に間違っている」と指摘。

「現行の憲法9条2項が、軍隊と交戦権を禁じている以上、日本は海外で軍事活動できないと決まっている。これをやぶって海外で軍事活動を行うならば、堂々と国民に問うて、憲法改正をしてから行けばいいのに、その議論が吹っ飛ぶのはおかしい。違憲状態のままで話が進んでいる」と法的観点から強い口調で批判した。

政府は5月15日、集団的自衛権の行使を可能にすることを盛り込んだ安全保障法制の関連法案を国会に提出した。このことを受けて、憲法学者や弁護士、元官僚らでつくる「国民安保法制懇」は同日、衆議院第一義員会館で記者会見を開き、法案の撤回を求める声明を発表した。

会見で、憲法学者の小林節・慶應義塾大学名誉教授は、「安保法制は、法的に、政治的に、経済的に間違っている」と指摘。

「現行の憲法9条2項が、軍隊と交戦権を禁じている以上、日本は海外で軍事活動できないと決まっている。これをやぶって海外で軍事活動を行うならば、堂々と国民に問うて、憲法改正をしてから行けばいいのに、その議論が吹っ飛ぶのはおかしい。違憲状態のままで話が進んでいる」と法的観点から強い口調で批判した。

●「『後方支援だから戦争ではない』はあからさまなウソ」

さらに、日本が憲法9条のもとに戦後70年間、「非戦の大国」としての地位を保ってきたことを指摘。安保法制が成立すれば、「過去70年間でつくった、たいへんな遺産をかなぐり捨てることになる」と政治的な損失について述べた。

「総理は何回も『後方支援だから戦争ではない』と言っているが、これはあからさまなウソ。後方支援なしに戦争なんかできないし、現場に行けば頼られる以上、抜けることはできない。後方支援とは、前からではなく後ろから戦争に突っ込んで行くということだ」

経済的な面についても、安倍首相が5月14日の閣議決定後に行われた記者会見で、「この法制によって防衛予算が増えていくことはない」と発言したことを引き合いに批判した。

「アメリカがいつでも戦場に日本人を呼び出せる制度を作ってしまったら、戦争で疲弊したアメリカが日本人を頼らないわけがない。アメリカは戦争に莫大な金をつぎ込んだ結果、経済的に破綻した。日本が財政的に第二のアメリカになることは読めている。

後方支援だから戦争ではないとか、お金はかからないとか、こういうことをつらっと言えるのは恐ろしいと思う。政策当局に知性が無いのか、国民をなめきっているとしか思えない」

●伊藤真弁護士「言葉の抽象性に惑わされず、想像力を持つことが重要」

憲法問題に詳しい伊藤真弁護士は会見の出席者に対して、「今回の法制によって様々な不利益や危険に晒されるであろう国民一人一人が、声を上げていかなければならない」と呼びかけた。

「集団的自衛権が認められれば、他国に対する武力行使や現場での武器使用ができるようになってしまう。それは、わざわざ海外に出かけて行って人を殺し、学校や家や教会を壊し、そこにいる人々の生活を破壊することだ。

武力行使や武器使用といった言葉の抽象性に惑わされず、日本がどういう国になろうとしているのか具体的な想像力を持つことが重要だ。声を上げるという勇気と誇り、そして想像力が我々一人一人に求められている」

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る