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セブン、時短要望の「全店調査」は間違い? オーナーから「聞いていない」続出
2019年03月28日 09時56分

日経新聞(電子版)は3月21日、コンビニ大手のセブン-イレブン・ジャパンが、全加盟店に聞き取り調査したところ、時短営業の希望が80店舗あったと報じた。約2万店ある加盟店の0.4%に相当する。

しかし、この記事を読んだ複数のオーナーから「聞き取りなんてされていない」との声があがっている。

弁護士ドットコムニュースの取材に対し、セブン本部は「全加盟店に聞き取ったわけではない」と報道内容を一部否定している。(編集部・園田昌也)

日経新聞(電子版)は3月21日、コンビニ大手のセブン-イレブン・ジャパンが、全加盟店に聞き取り調査したところ、時短営業の希望が80店舗あったと報じた。約2万店ある加盟店の0.4%に相当する。

しかし、この記事を読んだ複数のオーナーから「聞き取りなんてされていない」との声があがっている。

弁護士ドットコムニュースの取材に対し、セブン本部は「全加盟店に聞き取ったわけではない」と報道内容を一部否定している。(編集部・園田昌也)

●オーナーから「聞かれていない」の声

日経新聞の報道を受けて、大阪府のセブンオーナーは、弁護士ドットコムのLINE@に「そんな事聞かれていないし、知らない」とコメントを寄せた。交流のあるオーナーたちに聞いても同じ反応だという。

記者のツイッターにも同じように複数のオーナーから「聞いていない」との反応が寄せられている。

そこで、3月25日にあったコンビニオーナーらでつくる「コンビニ加盟店ユニオン」の記者会見で、「団体に所属するオーナーの中で、本部から聞き取りをされていないというオーナーはいないか」と尋ねてみた。

返ってきた答えは、「内部で話を聞いても、およそ半数(約30人)のオーナーが『知らない』と言っている」というものだった。

●セブン本部「こちらから直接聞いていない」

この点について、3月25日にセブン本部に確認したところ、広報担当者は「『聞き取り』という言葉には違和感がある」と回答し、日経の記事に誤解があるとの認識を示した。

「OFC(経営相談員)とオーナーさんの『通常のコミュニケーション』の中で、(24時間営業について)話題が出てくると思う。こちらから直接、『どうしますか。やりますか、やりませんか』と尋ねたわけではない」(担当者)

つまり、80店舗というのは、自発的に時短営業の意思表示をしたオーナーの数だという。

●セブンの回答、22日と25日で変わる

一方、日経新聞は取材に対し、「記事の内容は取材に基づくものです」と回答を寄せた。

日経を責めるのは酷かもしれない。弁護士ドットコムニュースは、日経電子版の記事が出た翌22日にもセブン広報に「全店に聞き取りをしたのは本当か」と尋ねている。

このときは25日とは別の広報担当者が対応し、「一旦確認する」と電話を切った後、ほどなく「間違いない」と回答した。

「『聞き取りされていない』というオーナーがいるようだが…」と聞いたところ、セブンからは「具体的にどの店舗か教えてほしい」と、全店聞き取りを前提としたような返事があった。

要するに、22日と25日ではセブンの回答が違うということになる。なお、情報源を明かすわけにはいかないので、メディアは上記のような問いには通常答えられない。

●セブン広報「回答が変わったという認識はない」

弁護士ドットコムのLINE@に連絡を寄せたオーナーからは、今回の日経報道について、「マスコミを使った情報操作ではないか」と憤る声もあった。時短を求める加盟店はわずか0.4%しかないと報じられたからだ。

セブンの広報はこの齟齬について、「会社として回答が変わったという認識はない」と答えている。

だが、同様のやり取りは、別媒体の記者との間でも起きているようだ。

セブンは、日経の記事について、会社の意見を発表したり、日経に抗議したりする予定はないという。つまり、コンビニ加盟店ユニオンなどの声がなければ、時短営業を求める声はほとんどなかったという「事実」が世に流布していた可能性がある。

実際には、内部で情報伝達の行き違いや、広報担当者の勘違いがあっただけなのかもしれない。ただ、結果として、加盟店オーナーたちに疑念を抱かせたことは間違いない。

●進むドミナント「客を取られるから24時間はやめられない…」

なお、「全店」ではないにしても、一部のセブン店舗では「聞き取り」めいたやりとりもあったようだ。実際にOFCからの質問を受けたオーナーの言葉を紹介したい。

吉村さん(左)

コンビニ加盟店ユニオンの副執行委員長でセブンオーナーの吉村英二さんは、OFCから「時短営業」をしたいかどうかを尋ねられたという。

「都内ではドミナント(編注:一定地域への集中出店のこと)が進んでいる。自分が休むと、よそに客を取られる不安から簡単に休めない。ただ、最低賃金なども上がっているし、来年になったら、自分の命のために時短を選ぶかもしれない、と伝えました」

吉村さんによると、この回答は「時短要望」ではなく、「24時間を続ける」にカウントされているという。

しかし、「できれば時短営業したい」と「状況的に時短営業にはできない」は両立しうる。むしろ、そのジレンマにこそ、コンビニが直面している課題があるのではないか。

経産省が実施したコンビニオーナー向けのアンケート調査では、人手不足の店舗が6割超、本部への不満を訴える声も4割ほどあった。

セブンに限らず、24時間営業を続けるかどうかに止まらない、丁寧な聞き取りが求められている。

(弁護士ドットコムニュース)

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