8635.jpg
妻が「嫌だからやめて」と伝えても「俺は大丈夫」という夫、SNSで話題の「嫌知らず」はモラハラ?
2024年11月13日 09時54分
#離婚 #モラハラ #嫌知らず #再構築

最近、XなどのSNSで話題の「嫌知らず」という言葉をご存知でしょうか。

これは、主に女性が夫のある行為に対して「嫌だからやめてほしい」と伝えても、嫌がっている気持ちが伝わらず、「俺は大丈夫だから」などと言って、行為をやめてくれないなどの現象を意味するようです。

「嫌知らず」が積もり積もって最終的に生活を営めないと考えた妻が離婚を申し出たりすると、夫は「嫌なことがあるなら言ってほしかった」などと言い出すケースもあります。

Xではこうした「夫が嫌知らずだった」という女性からの投稿が多く寄せられています。

たとえば、ある女性は身内が亡くなった日の夜、夫に「しばらく血とか見たくない。フィクションでも見せないでほしい」と伝えたにもかかわらず、夫は食事の時間にスプラッタ映画を流したそうです。

女性が再び同じことを頼むと、「俺は平気」と返事したとのことです。後日、女性が離婚を切り出した際にも、その理由について夫は理解できていなかったといいます。

また、ほかの女性は、夫から頭を日常的にはたかれているといいます。女性が「痛いからやめて」というと、夫は「痛くないよ!愛情表現だよ」と返事をして、やめてくれないそうです。

別の女性は、母親が醤油をこぼしてしまった際、雑巾を探そうとしたところ、父親が「これを使ってふけ」といって、白いバスタオルを持ち出してきました。女性と母親は「雑巾があるからやめて」と止めましたが、父親は「俺がいいって言ってるんだからいいんだよ」といって、醤油がこぼれた床にタオルを投げつけたそうです。

投稿した女性たちは、こうした夫や父親の行動を「嫌知らず」だと指摘しています。

こうした妻が嫌がることをやめようとしない夫の行動は、モラハラにあたるのでしょうか。夫婦の間の問題に詳しい原口未緒弁護士に聞きました。

最近、XなどのSNSで話題の「嫌知らず」という言葉をご存知でしょうか。

これは、主に女性が夫のある行為に対して「嫌だからやめてほしい」と伝えても、嫌がっている気持ちが伝わらず、「俺は大丈夫だから」などと言って、行為をやめてくれないなどの現象を意味するようです。

「嫌知らず」が積もり積もって最終的に生活を営めないと考えた妻が離婚を申し出たりすると、夫は「嫌なことがあるなら言ってほしかった」などと言い出すケースもあります。

Xではこうした「夫が嫌知らずだった」という女性からの投稿が多く寄せられています。

たとえば、ある女性は身内が亡くなった日の夜、夫に「しばらく血とか見たくない。フィクションでも見せないでほしい」と伝えたにもかかわらず、夫は食事の時間にスプラッタ映画を流したそうです。

女性が再び同じことを頼むと、「俺は平気」と返事したとのことです。後日、女性が離婚を切り出した際にも、その理由について夫は理解できていなかったといいます。

また、ほかの女性は、夫から頭を日常的にはたかれているといいます。女性が「痛いからやめて」というと、夫は「痛くないよ!愛情表現だよ」と返事をして、やめてくれないそうです。

別の女性は、母親が醤油をこぼしてしまった際、雑巾を探そうとしたところ、父親が「これを使ってふけ」といって、白いバスタオルを持ち出してきました。女性と母親は「雑巾があるからやめて」と止めましたが、父親は「俺がいいって言ってるんだからいいんだよ」といって、醤油がこぼれた床にタオルを投げつけたそうです。

投稿した女性たちは、こうした夫や父親の行動を「嫌知らず」だと指摘しています。

こうした妻が嫌がることをやめようとしない夫の行動は、モラハラにあたるのでしょうか。夫婦の間の問題に詳しい原口未緒弁護士に聞きました。

●モラハラになりそうだけど…

——妻が「嫌だからやめてほしい」といって伝えたことを、「俺は大丈夫だから」などといって、無視したり軽視したりする行動は、モラハラにあたるのでしょうか。

これは難しい問題ですね。

まず、「モラハラにあたるか」どうかですが、相手が不快に思っている、という点において、ハラスメントに該当しそうではあります。

ただ、調停や裁判では「モラハラ」と認定されないケースも多いかと思われます。

モラハラは精神的な暴力やいやがらせのことですが、「嫌知らず」の中には妻に対するいやがらせではなく、他人の言動を受け止めるのが苦手という気質的な理由も背景にあるように思うからです。

そのため一概に「嫌知らずはモラハラである」と言い切れない難しさがあります。

●離婚理由として認めてもらえない?

——モラハラでないとすれば、離婚理由としては認められないのでしょうか。

離婚理由として認められるか、についてですが、民法第770条1項5号では、離婚理由として「婚姻関係を継続し難い重要な事情」を規定しています。

「不快に思っていること、やめてほしいことを何度言ってもやめてくれない」「真摯に頼んだり、どうしてやめてほしいと言っているのか理由を伝えても、やめてくれない」といったことが続く場合があります。

そうした時、妻が夫との同居や婚姻関係を継続することが難しいほどの精神的苦痛を感じていることなどをきちんと相手に何度伝えて、婚姻関係の改善を求めたにも関わらず、夫が応じなかったり、話すら聞いてくれない、などの状況が続いたのであれば、「婚姻関係を継続し難い重大な事情」に該当することが認められるのではないかと考えられます。

●「嫌知らず」に陥らないために

——「嫌知らず」が度重なると、離婚という結末になることが少なくないようです。そうならないためにも、妻の「嫌だ、やめてほしい」を真摯に受け止めてもらうためには、どうしたら良いのでしょうか。

離婚の相談をお受けしていると離婚をしたい、とおっしゃる方にも「相手に不満を伝えていない」ということはよく見受けられます。

日本の良い文化として思いやり、察する、遠慮、控えめという性質があるためか、婚姻関係がこじれてしまうことの多くの理由はこの、お互い、あまり(というか、ほとんど)自分の思いや気持ちや考えをきちんと整理したうえで言語化して相手に対して発していないということがとても多く見受けられます。

よく言われることではありますが、まずはアイメッセージ(自分を主語にした言葉)で「私は、あなたの〇〇という言動によって、△△と感じて、とても悲しい。あなたに愛されていないと思ってしまう。大切にされていないと思ってしまう。あなたが私を傷つけていると感じて、とてもつらい。だから、やめてほしい」とここまで言うと、相手はとてもわかりやすいと思います。

「そこまで言わないとわからないのか」と思われるかもしれませんが、相手の性格や性質により、伝わりづらいということは少なくありません。

そうでなくても、言葉にして伝え合わないと人間というものは、わかり合うことが難しい生き物ではないかと思いますので、ぜひ、トライしてみていただきたいと思います。

その結果として、それでも夫側が妻の訴えにも耳を貸さず、まったく改善がみられないようなケースでは、夫に「改善してくれなければ、離婚を考えている」ということも伝えて良いのではないでしょうか。

ここまで言われないとわからない方もいるものです。それでも、なお改善せずに、妻がいやなことを続ける場合には、それでも我慢し続けるのか、離婚するのかご自身で決めていただくのがよいと思います。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る