8935.jpg
プール遊びする「子どもの裸体」、幼稚園がネット販売…保護者「許せません!」 児童ポルノ法違反の可能性も
2024年08月15日 10時18分
#児童ポルノ #水着 #写真

幼稚園や保育所での子どもたちの様子を伝えるため、保護者に写真をネット販売する施設も増えてきたが、時にはトラブルの元になってしまうことがあるようだ。

ある保護者が「幼稚園でプール遊びをしていた娘の裸が販売サイトを通じて多くの保護者に閲覧されてしまった」と訴えている。同じような投稿はSNS上でも多数あげられている。

こども家庭庁は今年5月、画像が第三者に性的な目的で利用されることを念頭に、施設のホームページなどに子どもの性的な部位を含む画像などを掲載しないように幼稚園などに通達した。

保護者に限って閲覧可能な販売サイトとはいえ、園側が刑事責任を問われる可能性もあり、夏場のプール遊びを写真に残す場合は注意が必要となりそうだ。

幼稚園や保育所での子どもたちの様子を伝えるため、保護者に写真をネット販売する施設も増えてきたが、時にはトラブルの元になってしまうことがあるようだ。

ある保護者が「幼稚園でプール遊びをしていた娘の裸が販売サイトを通じて多くの保護者に閲覧されてしまった」と訴えている。同じような投稿はSNS上でも多数あげられている。

こども家庭庁は今年5月、画像が第三者に性的な目的で利用されることを念頭に、施設のホームページなどに子どもの性的な部位を含む画像などを掲載しないように幼稚園などに通達した。

保護者に限って閲覧可能な販売サイトとはいえ、園側が刑事責任を問われる可能性もあり、夏場のプール遊びを写真に残す場合は注意が必要となりそうだ。

●我が子の裸を多くの保護者に晒され「許せません」

弁護士ドットコムに寄せられた女児の親からの法律相談によると、水着がずれて上半身露わになった娘の写真が数十枚アップされていたという。

園側に抗議したところ、販売はしないと約束されたが、すでに1週間の間に約100人もの保護者に見られてしまったため「写真を多くの保護者に晒された事は簡単には許せません」「悲しくて、辛くて、怒りがおさまりません」と憤りを感じている。

園側も事前確認していたが、全部で1000枚以上の写真に目を通したのは教諭1人だけだったとしている。

わいせつ事件に詳しい奥村徹弁護士は、このようなケースでは園側の刑事責任が問われる可能性を指摘する。

●性器が露出されていなくても「児童ポルノ」にあたる場合がある

——どのように考えられるでしょうか

そもそも「児童ポルノ」とは、児童ポルノ法2条3項3号で「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀でん部又は胸部をいう)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの」と定義されています。

性器等が露出していなくても、下着姿で性器等が強調されている場合も含みます。

ですので、こども家庭庁の通達には「こどもの性的な部位(性器・肛門・これらの周辺部、臀部又は胸部)を含む画像等」と表現されていますが、これは不正確です。

また「性欲を興奮させ又は刺激するもの」という要件は、一般人を基準にして判断されるとされます。一方で、条例で入浴が許容されている「男湯の女児」の裸体については下記のような高裁判例もあって緩く解釈されています。

「比較的低年齢の女児の裸の画像では性的興奮や刺激を感じない人が一般人の中では比較的多数であるとしても、普通に社会生活を営んでいるいわゆる一般の人達の中にそれらの画像で性的興奮や刺激を感じる人がいれば、それらの画像は、一般人を基準としても、『性欲を興奮させ又は刺激するもの』であると解するのが相当である」(大阪高裁判決平成24年7月12日)

さらに、公然陳列罪は、児童ポルノ画像を不特定または多数の者が閲覧可能な状態に置けば既遂になり、公然陳列の故意としては、児童の裸体画像を不特定または多数の者が閲覧可能な状態にすることを認識していれば足り、それ以上の性的な意図は不要です。

そうすると、幼稚園や保育園が、そのような写真をサイトにアップして、複数の保護者に閲覧させた場合、園側が児童ポルノ法違反(公然陳列:法定刑は最高懲役5年)が成立し、正当化する事由は乏しいと思われます。

●過去に都内の認可保育園でも同じような事案が発生している

奥村弁護士の解説は以上となる。

園内の保護者限りの閲覧であるかどうかを問わず、子どもの裸が第三者の目に触れることを嫌がる親は多い。

2022年には、都内の認可保育園で、子どもの全裸や下半身が露出した写真が販売サイトに約8カ月間掲載される事案が発生している。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る