9056.jpg
盛岡市「わんこそば」だけコロナ給付は不公平? 冷麺・じゃじゃ麺の意外な反応「支援にも順番ある」「震災で痛感した」
2020年06月02日 09時51分

岩手県盛岡市は、新型コロナウイルスの影響にともなう緊急経済対策として、「わんこそば」を提供する事業者に対する支援金100万円の給付を決定した。

一方で、「わんこそば」とともに「盛岡三大麺」である「盛岡冷麺」、「盛岡じゃじゃ麺」を提供する事業者は対象外となった。

岩手県は全国で唯一、新型コロナウイルスの感染者が確認されていない地域だ。しかし、休業や外出の自粛要請で、消費は落ち込み、観光客は減少するなど、どの事業者も影響を受けている。

なぜ、「わんこそば」だけが支援の対象となったのだろうか。また、市内の事業者はこの対策をどのように見ているだろうか。

岩手県盛岡市は、新型コロナウイルスの影響にともなう緊急経済対策として、「わんこそば」を提供する事業者に対する支援金100万円の給付を決定した。

一方で、「わんこそば」とともに「盛岡三大麺」である「盛岡冷麺」、「盛岡じゃじゃ麺」を提供する事業者は対象外となった。

岩手県は全国で唯一、新型コロナウイルスの感染者が確認されていない地域だ。しかし、休業や外出の自粛要請で、消費は落ち込み、観光客は減少するなど、どの事業者も影響を受けている。

なぜ、「わんこそば」だけが支援の対象となったのだろうか。また、市内の事業者はこの対策をどのように見ているだろうか。

●盛岡市「わんこそばは観光客による利用比率が高い」

盛岡三大麺のうち、わんこそばだけが支援の対象となった理由について、市の担当者は、「三大麺を比較すると、わんこそばは観光客による利用比率が高く、ダメージが特に大きいと判断しました」と説明する。

「地元の言葉を話す給仕さんとの掛け合いを楽しみながら、食べた数を競うという独特の雰囲気で食べるのがわんこそばの魅力。それが観光客を惹きつけ、お店の大きな収入源となっています。観光客数が右肩下がりとなり、その収入がなくなりました」

「3密」防止や「ソーシャルディスタンス(約2メートル)」の観点から、食べる人と給仕する人の距離が近いわんこそばの提供自体が困難だったことや、書き入れ時であるゴールデンウィークに提供休止を余儀なくされたことなども考慮しているという。

もっとも、わんこそばは通常、そば屋のサービスの1つとして提供されており、店には一般的なメニューもある。わんこそばの提供休止で、ただちに売り上げがなくなるわけではない。

この点、市の担当者は、断定は避けつつも、地元の事情を次のように話した。

「わんこそばを一度も経験したことがないという市民は少ないだろうし、親しみは当然あります。しかし、『イベント』の印象も強く、日常生活の中でそばを食べようという時に、『わんこそばにしよう』とはなかなかならないと思います」

わんこそばを提供できる環境を維持する費用などを考慮すると、市民による消費だけで店を支えるのは容易ではないという事情もあるようだ。

●震災の教訓「行政とのコミュニケーションを欠かさない」

もっとも、理由があるとはいえ、わんこそばだけが支援されるとなれば、冷麺・じゃじゃ麺を提供する事業者は心穏やかではいられないのではないか。

市内にある三大麺の事業者で活動している「盛岡三大麺普及協議会」に話を聞いた。わんこそばを提供する事業者も含まれていることに留意する必要があるが、意外にも不満がうずまいているというようなことはないそうだ。

背景には、東日本大震災を経験した中で得た教訓があるという。

「早期支援の必要性や財政事情などから、『行政の対策にも順番がある』ということを、震災後の復興の過程で痛感しました。市の対策に対してまったく異論がないとは言いませんが、今回の対策をスタート地点とし、今後さらなる対策を進めてほしい」

重要なのは、行政とのコミュニケーションを欠かさないことだという。

「協議会が実施したアンケート結果を提供するなど、市とは基本的に協力できていると思います。(震災や新型コロナなどによる)非常時には、行政も民間も互いにそれぞれの課題を意識して、継続的に対策を進めることが大切だと思います」

協議会としては、「今後の状況についても定量的な把握に努め、次の対策にいかせるように活動していければ」という。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る