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定年後再雇用 勤続30年のバス運転手が清掃業務に、会社の裁量認める判決…東京地裁
2018年09月20日 17時52分

定年後にバスの清掃業務に従事する形で再雇用されたバス運転手3人が、バス運転手としての雇用契約上の地位と差額賃金の支払いなどを求めた訴訟の判決が9月20日、東京地裁であり、春名茂裁判長は原告側の請求を棄却した。原告は控訴する方針。

定年後にバスの清掃業務に従事する形で再雇用されたバス運転手3人が、バス運転手としての雇用契約上の地位と差額賃金の支払いなどを求めた訴訟の判決が9月20日、東京地裁であり、春名茂裁判長は原告側の請求を棄却した。原告は控訴する方針。

●月給が10万足らずに

原告側代理人の吉田健一弁護士によると、原告3人は京王電鉄バスで運転手として勤務。2014年11月〜17年5月にそれぞれ60歳で定年退職した後、バス運転士として働く「継匠社員」としての勤務を希望したが、バスの清掃業務に従事する「再雇用社員」以外に雇用継続しない旨を通告された。

これにより清掃業務をする原告3人は、月給が10万足らずになり、年収は以前の3割程度になった。定年後に清掃業務に従事しているのは、原告3人だけだという。3人は「京王新労働組合」で中心的な活動を担ってきた。

原告側は「高年齢者雇用安定法の趣旨や指針に違反し、継匠社員を拒否するのは違法」と主張したが、判決は継匠社員制度について「希望者全員を定年後も引き続いて雇用することを内容とするものではなく、継続雇用制度に当たるものではない」などと指摘。

また、同法9条1項について「労働条件について具体的な定めを置いておらず、同項の趣旨に反しない限り、個々の事業主に実情に応じた多様かつ柔軟な措置が許容されているものというべき」とした。

●「使用者側に不当な扱いを許すものになる」

判決後、原告らが東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見を開いた。

吉田弁護士は「専門的な仕事に30年も従事してきた人たちに対して、一日中清掃業務をやらせるという異常な扱い方をしている。これを許していいのか」と批判。「これを容認すれば、今後の定年後の雇用のあり方について、使用者側に不当な扱いを許すものになりかねない」と懸念を示した。

原告の一人である佐々木仁さん(63)は「32年間、無事故無違反で路線バスの運転手をやってきた。今の給料は9万6千円で手取りにすると5〜6万円ほど。健康保険など福利厚生も一切ない。生活ができないと家族も養えなくなる」と訴えた。

また組合活動との関連について「労働組合の活動を毛嫌いしているのかもしれないが、こういった攻撃が、京王電鉄という一流企業が行っていいのかという思いがある」と述べた。

●京王バス「適正なご判断をいただけた」

京王バス広報部は「裁判所には適正なご判断をいただけたものと考えている」とコメントした。

(弁護士ドットコムニュース)

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