9078.jpg
「極論ですが、全員が確定申告すべき」会社員の税への無関心、田村税理士が語る問題点
2018年06月26日 08時32分

東京都足立区の北千住駅からほど近いビルで、税務相談を受ける田村麻美税理士。幼児を育てるママであり、コンサルティング会社も設立、さらにMBAでも学んでいます。最近気になるのが、サラリーマンの「税への無関心」。自分の納めた税が社会でどう使われているか、多くの人が関心を持つようになってほしいという気持ちでいます。田村税理士に話を聞きました。(主なやりとりは以下のとおり)

東京都足立区の北千住駅からほど近いビルで、税務相談を受ける田村麻美税理士。幼児を育てるママであり、コンサルティング会社も設立、さらにMBAでも学んでいます。最近気になるのが、サラリーマンの「税への無関心」。自分の納めた税が社会でどう使われているか、多くの人が関心を持つようになってほしいという気持ちでいます。田村税理士に話を聞きました。(主なやりとりは以下のとおり)

●知らず知らずのうちに税金をとるのは「よろしくない」

ーー税に関して物申したいことを教えてください

「源泉徴収制度と年末調整には疑問を感じています。会社員から起業して、相談に来られる方から、『なんでこんなに税金が高いんですか』と言われることが多いのですが、払う税率は変わっていないんです。おそらく会社員時代は毎月の給与から所得税などがすでに天引きされていますから、税金を納めているという感覚が薄いのでしょう。こうした時に、知らず知らずのうちに税金をとっている源泉徴収制度はよくないなと感じます」

ーー「税への無関心」の原因とよく言われますね

「源泉徴収と年末調整は会社が責任をもって行っています。しかし、サラリーマンなどの給与所得者は、税金が天引きされ、自分が納めているという感覚が薄いので、税金がどういう使われ方をしているのかに興味を持つことが難しいのでしょう。本当によろしくないと思います。

極論を言うと、全員が確定申告をしたほうがいいと思っています。薄くなっている納税者意識を何とかして変えていくべきだと思います。あと、サラリーマンの方は年末調整の還付で税金が戻ってくることをラッキーと捉えがちですが、むしろ多めに取られていたことに不信感を持っていいくらいです」

ーー給与所得者ではない自営業の方々などは納税者意識が強い印象ですか

「はい、明らかに違います。税金に関するニュースに疑問をもって、今後の日本社会の行方に思いを馳せている方が多いです。知らないうちに税金が取られているわけでなく、自分から支払っていると、こうも感覚が違うのかと驚きます」

●様々な業種を疑似体験できる楽しさ

ーー税理士としての仕事の魅力を教えてください

「お客さまは、クリーニング屋さんや自転車屋さん、ボイストレーナーの先生、建設系、IT系など業種が様々です。こうした業種の方々から相談を受けることで、その業種を疑似体験しているような感覚になります。税理士にならなかったら、知らなかっただろうなという世界に触れることができるのは楽しいです。

また、税理士になる前よりも、モノを大切にするようになりました。お客さまがどんな思いでサービスを提供しているかを聞くと、大切にしなきゃいけないと自然に思うんです」

ーーどのような税務相談が困りますか

「『税金は払いたくない、でもお金は貯めたい』という相談をされることがあります。税金を減らすということは、利益を減らすということなので、そのぶん経費を増やすということです。つまり経費をたくさん払っていては当然、お金は貯まりにくい。お金を貯めるためにはしっかり税金を払わないといけないということを説明します。

また、裏付けとなる領収書などの資料を出さないのに、『うまいこと申告やっといてよ』という相談がくることもたまにあります。こういう場合は最悪。女性だからなめられるのかもしれません。しっかり『できません』とお断りしています」

●ゼロからのスタート、当初は苦労続き

ーー当初、個人事務所として開業していたそうですね

「はい。当初は個人で税理士事務所をはじめました。しかし、『お客さまによりよいサービスを提供したい』と考え、さらなる業務拡大のため、税理士としての個人事務所は法人化しました。

今は別の税理士法人の東京支社の支社長ということで、独立採算で仕事を任されています。結婚と同時に足立区にきて、それ以降、足立区に根ざしてやっていますが、2世税理士というわけでもなくゼロからのスタートだったので、最初は仕事をもらうのがとにかく大変でした」

ーー子育てをしながら税理士をしているのですか

「はい。もうすぐ4歳です。子どもが小さいと、当然熱を出したり具合が悪くなったりすることもあります。そういった場合に、個人事務所だったら不安は大きいままだったでしょうが、今では組織として情報を共有することができていて、安心です」

ーー大学院で経営管理(MBA)について学んでいるのはどうしてでしょうか

「税理士としての経験は仕事上、積めます。ただ、経営者からいろいろな相談を受ける中で、よりよいアドバイスを提供できるような税理士になりたいと思っています。お客さまのためになるのではないか、と考えたため入学しました」

【プロフィール】

田村 麻美(たむら・まみ)税理士。TRYビジネスソリューションズ代表取締役。税理士法人江波戸会計東京支社長。2014年8月に第1子出産。結婚を機に足立区で事務所開業。自転車に乗るのが好き。早稲田大大学院経営管理研究科(MBA)在学中。

事務所名   :TRYビジネスソリューションズ/ 税理士法人江波戸会計

事務所URL: http://try-bs.com/

http://www.kaikei-home.com/ebatokaikei/

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る