9126.jpg
「ホームアローン」作戦で泥棒退治 やりすぎでも正当防衛になる?
2018年12月27日 09時57分

クリスマスの定番映画として知られる「ホームアローン」。家に残された子どもが、泥棒を退治するために奮闘するシーンがありハラハラする展開が人気です。

レンガのブロックをぶつけたり、家の中に罠を仕掛けて泥棒を燃やしたりするなど、子どもはあの手この手を使って、泥棒から家を守ろうとします。なにをされても泥棒たちは図太いですが、手に火傷するなどのケガを負うシーンもあります。

現実には「ホームアローン」の子どものように、罠を仕掛けて泥棒を退治することはむずかしいでしょう。しかし、もし仕掛けた罠で泥棒がケガをしたり、死亡したりした場合は罪に問われるのか気になります。吉田要介弁護士に聞きました。

クリスマスの定番映画として知られる「ホームアローン」。家に残された子どもが、泥棒を退治するために奮闘するシーンがありハラハラする展開が人気です。

レンガのブロックをぶつけたり、家の中に罠を仕掛けて泥棒を燃やしたりするなど、子どもはあの手この手を使って、泥棒から家を守ろうとします。なにをされても泥棒たちは図太いですが、手に火傷するなどのケガを負うシーンもあります。

現実には「ホームアローン」の子どものように、罠を仕掛けて泥棒を退治することはむずかしいでしょう。しかし、もし仕掛けた罠で泥棒がケガをしたり、死亡したりした場合は罪に問われるのか気になります。吉田要介弁護士に聞きました。

●正当防衛が成立すれば罪に問われない

ーー実際に「ホームアローン」のように泥棒を退治しようとして、泥棒がケガをしたり、亡くなったりした場合、罪に問われるのでしょうか

「泥棒がケガを負えば傷害罪、亡くなれば傷害致死罪や殺人罪に問われる可能性があります。

しかし、泥棒退治の行為が『急迫不正の侵害』から自分や他人の権利を守るために『やむを得ずにした行為』であれば、正当防衛が成立して罪に問われることはありません(刑法36条1項)」

ーーどのようなときに正当防衛が成立するのでしょうか

「泥棒が家にいれば、自分や他人の財産が盗まれる危険が押し迫っているといえるので、『急迫不正の侵害』があるといえるでしょう。

また、泥棒退治のためにした行為が、泥棒を断念させるために必要かつ十分な(相当性を有する)ものであれば『やむを得ずにした行為』と判断され、正当防衛が成立します。

過剰な場合は正当防衛は成立しませんが、過剰防衛として刑が軽くなったり、免除されることがあります(刑法36条2項)」

●行きすぎた泥棒退治でも「正当防衛」が成立することも

ーー泥棒が武器をもっているときはどうでしょうか

「自分や他人の生命、身体に対する危険が迫っている場合や、恐怖などによってその危険があると誤信してしまう場合もあるでしょう。

この場合は、泥棒退治の行為の相当性はゆるやかに判断されます。そのため、多少行きすぎた行為をしたとしても、正当防衛が成立する可能性はあります(盗犯等防止法における正当防衛の特例)。

もっとも、泥棒退治のためにした行為であっても、この機会を利用して積極的に泥棒にケガをさせようとしたり殺そうとしたりした場合は『急迫不正の侵害』があるとはいえないので、正当防衛は成立しません」

●子どもでも、なんらかの措置がとられる場合も

ーーホームアローンでは、14歳未満の子どもが泥棒退治のために奮闘します。子どもの場合はどうなるのでしょうか

「正当防衛が成立しなくても、子どもが14歳未満の場合は刑事罰には問われません(刑法41条)。しかし、児童自立支援施設への入所措置等がとられることがあります。

14歳以上の場合は少年法が適用され、家庭裁判所で審判を受けることになります。殺人罪が問題になるような重大案件であれば、大人と同様に、刑事裁判を受けることがあります」

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る