9130.jpg
「偽シャネル」販売目的の所持容疑で逮捕…自分で使うだけなら問題ない?
2017年05月12日 10時12分

高級ブランド「シャネル」の偽物商品を販売目的で所持したとして4月19日、三重県の女性(44)が商標法違反の疑いで逮捕された。

報道によると、容疑者は通販サイトを通じて、偽のピアスやネックレスなどを1点1000円ほどで販売していたと見られる。偽物だという認識はあったようで、「パロディ商品として売ってもいいと思っていた」と話しているそうだ。自宅からは約600点の偽グッズが押収されている。

販売目的というのは、どういう基準で判断されるものなのだろうか。偽のブランド品(海賊版)だと知っていても、持っているだけなら問題ないのだろうか。大森景一弁護士に聞いた。

高級ブランド「シャネル」の偽物商品を販売目的で所持したとして4月19日、三重県の女性(44)が商標法違反の疑いで逮捕された。

報道によると、容疑者は通販サイトを通じて、偽のピアスやネックレスなどを1点1000円ほどで販売していたと見られる。偽物だという認識はあったようで、「パロディ商品として売ってもいいと思っていた」と話しているそうだ。自宅からは約600点の偽グッズが押収されている。

販売目的というのは、どういう基準で判断されるものなのだろうか。偽のブランド品(海賊版)だと知っていても、持っているだけなら問題ないのだろうか。大森景一弁護士に聞いた。

●販売や所持は商標法違反となりうる

――偽ブランド品を売ったら、どんな罪になる?

商標法78条は、「商標権又は専用使用権を侵害した者‥‥は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」と規定しており、偽ブランド品などを販売目的で所持すると処罰の対象となりえます。本物と偽って販売した場合には、商標法違反に加えて、詐欺罪も成立する可能性があります。

本物と偽った場合だけでなく、偽物やパロディ商品としてであっても、他人の商標と類似し、または混同のおそれがあれば、商標権の侵害として処罰される可能性があります。

――販売するつもりはなく、偽ブランド品を持っていただけの場合は?

自己使用目的の所持は商標法違反とはなりませんので、単に偽ブランド品などを購入し、所持していたというだけでは犯罪になりません。所持していた数量、入手の経緯、販売実績などの諸事情を総合して判断されることになります。

ただし、偽ブランド品などを海外から日本に持ち帰った場合や、海外通販で購入した場合などには、商標法違反だけでなく、関税法違反も問題となりえます。

●犯罪とならない場合でも、没収の可能性

――輸入の場合、具体的にどんな問題になる?

関税法は、「商標権を侵害する物品」を輸入してはならないとしており(関税法69条の11第1項9号)、その違反に対して10年以下の懲役・1000万円以下の罰金の刑事罰を定めています(関税法第109条2項)。

ただし、関税法違反についても運用上、自己使用目的の場合には処罰されることはないと思われます。条文上は必ずしも明らかではないのですが、関税法基本通達が知的財産の侵害とならないものの例として「業として輸入されるものでないもの」を挙げているためです。

ですが、偽物の場合、国内に持ち込む際に税関で発覚すれば、没収・廃棄などが命じられる可能性があります(関税法69条の11第2項)。

――偽物と知らず輸入したり、販売したりしたらどうなる?

偽物と知らなかった場合には、商標法・関税法のいずれについても犯罪は成立しません。販売目的で所持していたり、実際に販売したり、輸入したりしたとしても、処罰されることはありません。ただし、この場合も没収・廃棄などが命じられる可能性があります。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る