9154.jpg
親が管理する「子ども名義」の銀行口座、離婚したら誰のものになる?
2017年11月17日 10時50分

未成年の子どもを持つ親の中には、子ども名義の通帳を作り、預金をしているという人もいるだろう。しかし、その銀行口座は親の離婚時にトラブルのもととなることもあるようだ。

配偶者の不倫を理由に離婚を考えている人が、「通帳名義は子どもであるが、届出印が父親(配偶者)のもの(三文判でも)だった場合、子どもの財産とは見なされないのでしょうか?」と、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに質問を寄せた。

通帳名義が未成年の子どもであっても、親が管理して、預金していたような場合、その財産は子どものものとならないのだろうか。離婚の財産分与でどう処理されるのか。山本直樹弁護士に聞いた。

未成年の子どもを持つ親の中には、子ども名義の通帳を作り、預金をしているという人もいるだろう。しかし、その銀行口座は親の離婚時にトラブルのもととなることもあるようだ。

配偶者の不倫を理由に離婚を考えている人が、「通帳名義は子どもであるが、届出印が父親(配偶者)のもの(三文判でも)だった場合、子どもの財産とは見なされないのでしょうか?」と、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに質問を寄せた。

通帳名義が未成年の子どもであっても、親が管理して、預金していたような場合、その財産は子どものものとならないのだろうか。離婚の財産分与でどう処理されるのか。山本直樹弁護士に聞いた。

●個々の事例ごとに判断する

「財産分与において、子ども名義の預金口座が誰の財産になるかについては、一律にどのようにするか決まっているわけではありません。個々の事例ごとに事実関係を検討して、その口座に入っている預金の性質が、実質的に夫婦の共有財産といえるかどうかを判断することになります。裁判所も、個別具体的な事情を検討して、事案ごとに異なる結論を下しています」

裁判所はどのように判断しているのか。

「裁判所の判断事例を見ると、まず、婚姻期間中に得られた夫婦の収入等が預金されている預金口座は、通常は、子ども名義の口座であっても財産分与の対象になるとされています。

したがって、夫婦のいずれかが、財産分与の前に夫婦共有の財産を隠すために、子ども名義の預金口座を開設して入金したとしても、財産分与の対象になります。

他方で、夫婦の収入を預金した口座から子ども名義の口座に預金していた場合に、子に対する贈与の目的であったために、財産分与の対象から除外された事例があります。

このように、親の離婚に伴って子どもの口座が誰のものになるのかは、個別具体的に検討していく他ありません」

●子どものお年玉などが入金されていたら?

子ども自身がお小遣い、祖父母からのお年玉やお祝い金などを入金しているケースもありそうだ。

「子どもが自分で管理している預金(小遣いなど)であれば、子ども自身の財産として、財産分与の対象外となる可能性が高いといえますし、祖父母などからのお祝いや子ども自身が受け取るべき手当について財産分与の対象としなかった裁判例もあります」

なお今回、相談を寄せた人は、届出印が子ども自身のものではないことを気にしているようだ。

「口座に入ったお金が誰のものかを検討する上で、届出印が誰のものであるか、誰が届出印を管理しているかといった事実は検討されることの一要素ではあるかもしれません。ただ、裁判所は、あくまでそのお金が夫婦の財産なのか、子の財産なのか、その実態を検討しますので、この事実だけで誰の財産になるかが決まるわけではないのです」

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る