9180.jpg
大渋滞の高速道路「休憩所」 がまんできず「異性のトイレ」に駆け込んだら犯罪か?
2014年02月14日 19時43分

年末年始の最大9連休に続き、2月の飛び石連休、3月の3連休ときて、4月末からはゴールデンウィークと、毎月のように連休が続く。連休と言えば遠出のチャンスだが、行楽でもっとも避けたいのが、高速道路の渋滞だ。いったん引っかかると、場合によっては何時間もの間、身動きがとれないこともある。

そんなとき深刻なのが「トイレ」の問題だろう。尿意を我慢しながら渋滞を乗り越え、ようやくサービスエリアにたどり着いたと思ったら、トイレにも長い行列が……なんてことはよくあるだろう。

そこで耐えてみたものの「いよいよ限界」となった場合、どうしたらいいのか。たまたま異性側のトイレに空きがあったとしたら、利用しても許されるのだろうか? 大和幸四郎弁護士に聞いた。

年末年始の最大9連休に続き、2月の飛び石連休、3月の3連休ときて、4月末からはゴールデンウィークと、毎月のように連休が続く。連休と言えば遠出のチャンスだが、行楽でもっとも避けたいのが、高速道路の渋滞だ。いったん引っかかると、場合によっては何時間もの間、身動きがとれないこともある。

そんなとき深刻なのが「トイレ」の問題だろう。尿意を我慢しながら渋滞を乗り越え、ようやくサービスエリアにたどり着いたと思ったら、トイレにも長い行列が……なんてことはよくあるだろう。

そこで耐えてみたものの「いよいよ限界」となった場合、どうしたらいいのか。たまたま異性側のトイレに空きがあったとしたら、利用しても許されるのだろうか? 大和幸四郎弁護士に聞いた。

●正当な理由もなく、異性のトイレに入れば問題だが・・・

「こうしたケースでは、建造物侵入罪の成否が問題となります」

このように大和弁護士は述べる。サービスエリアのトイレについては、どう考えればいいのか。

「建物の管理者がトイレを『男性用』と『女性用』に分けていた場合、異性の側に入ると、『管理者の意思』に反して建物に入ったことになり得ます。

したがって、正当な理由もなく、異性の側のトイレに入れば、建造物侵入罪の要件を満たす可能性があります」

「もう限界」というのは緊急の場合で、「正当な理由」があると言えないのだろうか?

「その点について、刑法には『緊急避難』(37条)という規定があり、一定の条件を満たせば、緊急でやむを得ずしたことは、処罰されないとされています」

●トイレへの駆け込みは「緊急避難」にあたる?

今回のようなケースは、「緊急避難」にあてはまるのだろうか? 刑法37条の条文には、次のような条件が書かれている。

(1)自己または他人の生命、身体、自由または財産に対する現在の危難を避けるため、

(2)やむを得ずにした行為は、

(3)これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない

「まず、トイレが大混雑しており、今にも粗相をしてしまいかねないという状況は、『自己の身体や財産に対する現在の危難』と言えそうです」

たしかに、粗相をすれば服などは台無しになるし、我慢をし続ければ膀胱炎などになる可能性だってあるだろう。他の条件はどうだろうか?

「そんな状況に追い込まれた場合、異性側のトイレに入ることは『やむを得ずにした行為』として、必要かつ相当と言えるのではないでしょうか」

では、3番目の『害』については、どうだろう。

「もしトイレが空いているのであれば、現実に大きな損害を受ける人はいないでしょう。もしかしたら洗面台で手を洗っていた人は、異性が入ってきたのを見てびっくりするかもしれませんが、誰かの身体や財産に、直接の害を与えるわけではありませんからね。

したがって、異性のトイレに入ることで『生じた害』は、『避けようとした害』よりも小さいといえることが、実際には多いのではないでしょうか」

大和弁護士はこのように指摘し、「これには異論もあると思いますが、今回のようなケースでは、緊急避難により建造物侵入罪は成立しないと、私は考えます」と話していた。

ただ、この緊急避難が成り立つのは、「あくまで、こうした条件に合致した場合だけ」(大和弁護士)で、他の不正な目的で異性のトイレに立ち入るのは、やはり問題ということだ。もしやむを得ない事情で異性のトイレを使う羽目になった際にも、周囲から変な誤解を受けないよう、最低限の注意を払ったほうが良さそうだ。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る