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数字に見る「リアル書店」のいま 都会の有名店舗が閉店、続く苦境
2018年09月12日 09時47分

みなさんは、本をどうやって手に入れますか。ひと昔前は近所の書店に行って買い求めるのが当たり前だったと思いますが、いまやアマゾンなどのネット書店の勢いが著しく、「本はネットでポチり」という人が増えているのではないかと思います。

今年6月にも、東京・六本木の有名書店「青山ブックセンター 六本木店」が閉店するというさみしいニュースがありました。昨年も渋谷で「ブックファースト渋谷文化村通り店」が閉店しています。

さて、そうするとリアル書店(店舗型書店)は逆風にさらされ、苦しい状況が続いていそうですが、実際はどうなっているでしょうか。公開されている統計データをもとに、リアル書店好きの李顕史税理士が検証しました。

みなさんは、本をどうやって手に入れますか。ひと昔前は近所の書店に行って買い求めるのが当たり前だったと思いますが、いまやアマゾンなどのネット書店の勢いが著しく、「本はネットでポチり」という人が増えているのではないかと思います。

今年6月にも、東京・六本木の有名書店「青山ブックセンター 六本木店」が閉店するというさみしいニュースがありました。昨年も渋谷で「ブックファースト渋谷文化村通り店」が閉店しています。

さて、そうするとリアル書店(店舗型書店)は逆風にさらされ、苦しい状況が続いていそうですが、実際はどうなっているでしょうか。公開されている統計データをもとに、リアル書店好きの李顕史税理士が検証しました。

●スマホ普及がネット書店を後押しか

ネット販売が著しく伸びている時代とはいえ、リアル書店の踏ん張りは見逃せません。まずはリアル書店の事業所数の推移をみてみましょう。事業所数と店舗数は必ずしも一致しませんが、傾向をつかむ分には問題ないでしょう。

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経済産業省「経済センサスー活動調査 」(平成24年、28年)によると、リアル書店の事業所数は、1988年に約2万8千あった一方で直近データの2016年では8544と、約7割減少しています。とくに個人経営の事業所数は、ピーク時から87%も減っています。

私の印象ですが、街の小さな本屋は昭和末期には都心部でも見かけましたが、最近は都市部だけでなく地方でもほとんど見かけないような気がしています。ちなみに朝日新聞の報道(2017年8月24日付)によると、全国420の市町村・行政区では書店がゼロということです。

書店数の減少は売上高の減少にもつながっています。1997年の販売額は2兆4,700億円でしたが、直近では1兆2千億円と約半分まで落ち込んでいます。とくに落ち込みが厳しいのは2007年から2012年にかけてで、一気に44%も減少しました。スマートフォンの普及が進んで紙媒体の書籍・雑誌を読む人が少なくなったことが影響していると考えられます。(経済センサスー活動調査 (平成24年、28年)から)

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また、家計支出に占める書籍に対する金額も減少してきていて、ピーク時の2008年では15,438円だったのが、2017年では11,501円と、ピーク時の約75%となっています。(総務省 家計調査年報 家計収支編 1世帯当たり年間の品目別支出金額から)

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一方で、ネット書店はどうなっているでしょうか。

ネット書店全体での販売額がどの程度なのかという公的なデータは見つかりませんでしたが、最大手とみられるアマゾンが日本でどれくらいの売上高をあげているのかを推測することはできます。次の表はアマゾンの日本の売上高です。この売上高は日本全体であげたもので、書籍だけではないのですが、ネット販売の伸びはある程度想像できます。(アマゾン社のアニュアルレポートから)

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また、全国出版協会によると、2017年の出版市場は、紙が1兆3,701億円で電子が2,215億円。紙が減り、電子が伸びるという傾向に変わりはないようです。もちろんネット書店で紙の本を買うこともありますが、このデータからもネット書店の伸びはある程度想像していいと思います。

●リアル書店の売り場面積、2014年から2016年にかけて増加

それでは、ネット書店はどのくらい伸びているでしょうか。

統計データが違うので単純比較はできないのですが、先ほどのリアル書店販売額と雑誌・週刊誌・書籍の家計支出推移を比較すれば状況がうかがえます。

2007年と2016年を比較すると、家計支出の書籍・雑誌の落ち込みは約25%であるのに対して、この期間でのリアル書店販売の落ち込みは、約44%です。あくまで推測ですが、この間に、リアル書店よりもネット書店を選ぶ消費者が増えたのではないかと考えられます。これからも、ネット書店の勢いが増すのではないでしょうか。

一方で、こんなデータもあります。リアル書店の売り場面積が2014年から2016年にかけて増えているんです(経済センサスー活動調査 (平成24年、28年)から)。事業所数が減少していて、1店舗あたりの売り場面積も増加傾向にあります。

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売り場面積を広げて、少しでも来店してもらおうという経営者の狙いなのかもしれません。最近では、カフェと提携して、落ち着いた空間でコーヒーを飲みながらゆっくり本を選んでもらう…といったところも増えてきているようです。

立ち読みを推奨するわけではありませんが、リアル書店で本を手にとりながら選ぶのと、ネットで選ぶのとではやはり違いがあると思います。私もタイトルや目次だけでネット注文して、あとで買わなければよかったと悔やんだことがあります。

ただ、売り場面積が増えることは必ずしもポジティブには捉えられません。生き残りをかけた大型化をしても、大量に仕入れた本が売れ残るリスクはつきまとい、テナント家賃の負担も軽いものではないでしょう。

むしろ小さな店で、書籍に詳しい店主とコミュニケーションを取りながら気になる本を探す。こんな書店との関わり方も最近では再評価されているという声もあります。ネット書店が伸びるのは時代の流れかもしれませんが、リアル書店ならでの味わいも捨てがたいと思っています。街の本屋さんの奮闘に期待したいです。

【取材】

李 顕史(り・けんじ)税理士

李総合会計事務所所長。一橋大学商学部卒。公認会計士東京会研修委員会副委員長。東京都大学等委託訓練講座講師。PwCあらた有限責任監査法人金融部勤務等を経て、2010年に独立。金融部出身経歴を活かし、経営者にとって、難しいと感じる数字を分かりやすく伝えることに定評がある。また銀行等にもアドバイスを行っている。

事務所名 : 李総合会計事務所

事務所URL:http://lee-kaikei.jp/

(弁護士ドットコムニュース)

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