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グリコの菓子320個のはずが「3200個」到着!「誤発注」はキャンセルできない?
2014年11月14日 10時39分

320個注文したつもりだったのに、3200個のお菓子が届いてしまった――。福岡県にある大学の生協が、予定の10倍の菓子を「誤発注」してしまったという出来事がニュースになった。

読売新聞によると、北九州市立大学の生協の従業員が10月中旬、「ポッキー」や「プリッツ」など江崎グリコのお菓子12種類を発注した。その際、「1セット10個」という表示を見落とし、320「個」のつもりで320「セット」、つまり3200個のお菓子を注文してしまったというのだ。

10月末に大量のお菓子が届き、誤発注に気付いた生協は慌てて対応を検討。食品売り場だけでなく、キャンパス内の食堂や書店にも商品を置き、「HELP!」「3200コ届いてしまいました」などと張り紙をして、購入を訴えた。それに対して、来店した学生らがLNEやツイッターを通じて窮状を伝えるなど支援の輪が広がった。

その甲斐あって、3200個の菓子は、11月12日の午前中に無事完売したそうだ。しかし、そもそも、こうした「誤発注」をしてしまった場合、「間違えました」とキャンセルすることはできないのだろうか。田村ゆかり弁護士に聞いた。

320個注文したつもりだったのに、3200個のお菓子が届いてしまった――。福岡県にある大学の生協が、予定の10倍の菓子を「誤発注」してしまったという出来事がニュースになった。

読売新聞によると、北九州市立大学の生協の従業員が10月中旬、「ポッキー」や「プリッツ」など江崎グリコのお菓子12種類を発注した。その際、「1セット10個」という表示を見落とし、320「個」のつもりで320「セット」、つまり3200個のお菓子を注文してしまったというのだ。

10月末に大量のお菓子が届き、誤発注に気付いた生協は慌てて対応を検討。食品売り場だけでなく、キャンパス内の食堂や書店にも商品を置き、「HELP!」「3200コ届いてしまいました」などと張り紙をして、購入を訴えた。それに対して、来店した学生らがLNEやツイッターを通じて窮状を伝えるなど支援の輪が広がった。

その甲斐あって、3200個の菓子は、11月12日の午前中に無事完売したそうだ。しかし、そもそも、こうした「誤発注」をしてしまった場合、「間違えました」とキャンセルすることはできないのだろうか。田村ゆかり弁護士に聞いた。

●「間違えました」でキャンセルできるか?

「本件では生協がお菓子を注文し、江崎グリコがこれを承諾した時点で、320『セット』のお菓子について、売買契約が成立しています」

ただ、今回のような「勘違い」は誰にでも起こる可能性がある。「間違えました、返品したい」とは言えないのだろうか。

「そういう場合には、注文に『錯誤』があったとして、売買契約が無効だと主張できるかもしれません。

この錯誤とは、たとえば、契約書に『150万円で売る』と書くつもりで『150円で売る』と誤記したような場合のことです」

ざっくりいうと、そういう場合、契約が無効になるということだ。今回の場合、320「個」のつもりで320「セット」と発注してしまったということであれば、無効だと言えないのだろうか?

「ただ、このルールには条件があって、『重大な過失』があれば、無効だと言えないことになっています」

重大な過失とは、たとえばどんなことだろうか。

「今回の具体的な事情はわかりませんが、たとえば、お菓子の発注単位が『セット』であることが、普通の人から見て明らかであるといった事情があれば、『重大な過失』といえるでしょう」

そうなると、ポイントは生協に「重大な過失」があったかどうかになりそうだ。

●「食料品は返品不可」という特約をどう見る?

ただ、今回のケースでは、卸業者との間に『食料品は返品不可』という特約があったようだ。こうした特約があると、たとえ錯誤があっても返品できなくなるのだろうか?

「契約内容をどのように定めるかは、暴利行為や不公正な取引に当たるなど例外的な場合を除いて、基本的に当事者の自由です。

消費期限の短い食料品の返品を認めないことには、合理的理由があります。今回の特約は有効であり、返品はできないと考えられます」

田村弁護士はこのように指摘していた。

特約が有効なら、返品は難しいということになりそうだ。お店で発注するプロだけでなく、私たち一般人も「クリックひとつ」で簡単に買い物できる時代。うっかりミスには注意すべきといえそうだ。

(弁護士ドットコムニュース)

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