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佐々木、北弁護士「懲戒請求者6人」を訴える…約20人と和解、残りも順次「提訴予定」
2018年11月02日 14時08分

弁護士の懲戒制度を悪用した不当な懲戒請求によって、精神的な苦痛を受けたとして、東京弁護士会に所属する佐々木亮弁護士と北周士弁護士が11月2日、900人以上の懲戒請求者のうち6人を相手取って、それぞれに慰謝料など33万円ずつをもとめて、東京地裁に提訴した。これまで約20人の請求者と和解しており、応じなかった残りの人たちに対しても順次提訴していくとしている。

弁護士の懲戒制度を悪用した不当な懲戒請求によって、精神的な苦痛を受けたとして、東京弁護士会に所属する佐々木亮弁護士と北周士弁護士が11月2日、900人以上の懲戒請求者のうち6人を相手取って、それぞれに慰謝料など33万円ずつをもとめて、東京地裁に提訴した。これまで約20人の請求者と和解しており、応じなかった残りの人たちに対しても順次提訴していくとしている。

●ブログ「余命三年」がきっかけで懲戒請求を受けた

訴状によると、被告6人は2017年7月から9月ごろにかけて、弁護士会や複数の弁護士に対する懲戒請求を呼びかけているブログ「余命三年時事日記」を閲覧したうえで、その意見に賛同して、東京弁護士会に対して、佐々木弁護士ら複数の弁護士の懲戒請求をおこなった。

その懲戒理由は、「違法である朝鮮人学校補助金支給要求声明に賛同し、その活動を推進する行為は、日弁連のみならず当会でも積極的に行われている二重の確信的犯罪行為である」。ブログ「余命三年」で配布されたひな形を利用しているため、6人の懲戒理由はすべて同じだったという。

東京弁護士会は2017年6月、「朝鮮人学校補助金支給要求声明」を発表したが、佐々木弁護士は、この声明の作成に一切関わっておらず、弁護活動においても、賛成・援助する立場で活動したり、SNSで特段の情報発信もしていなかった。ところが、佐々木弁護士は2017年9月時点で、約900件の懲戒請求を受けた。

●「根拠のない懲戒請求は本当にひどい」とツイートして懲戒請求を受けた

佐々木弁護士は2017年9月20日、自身のツイッター上で「本件は、『保守派』の弁護士先生たちも、私への懲戒請求には『ひどい』とおっしゃて下さっておりますよ」と投稿。当時面識のなかった北弁護士が、この投稿を引用しつつ「根拠のない懲戒請求は本当にひどいというか頭おかしいと思います」などとつづった。

ところが、ブログ「余命三年」はさらに、「根拠がないと言っている点ですでに弁護士失格。懲戒請求者への恫喝と捉え、脅迫罪をもって懲戒を求める」という理由で、懲戒請求をよびかけた。最終的に、北弁護士に対する懲戒請求は960件に及んでいるという。

弁護士2人は、自分たちが受けた懲戒請求について、最高裁判例を引用しながら、「事実上または法律上の根拠を欠く場合」にあたり、さらに「請求者がそのことを知りながらまたは通常人であれば普通の注意を払えば知り得たのに、あえて懲戒請求している」から、弁護士の懲戒制度の趣旨目的に照らして相当ではないと主張している。

●「被告人数が膨大であることや、精神的にかなり負担であること」

弁護士2人は今年5月、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見を開いて、6月下旬から960人の懲戒請求者を相手取り、慰謝料を求める訴訟を起こすと公表。和解も呼びかけていた。北弁護士によると、提訴時期が遅くなったのは、被告の数が多かったこと、弁護士会の決定が現時点でも出ていないこと、殺到型不法行為の法律構成に手間取ったことがあるという。

北弁護士は、弁護士ドットコムニュースの取材に「ネット上で複数の人間が特定の個人に対し軽い気持ちで加害行為をすることについて一定の歯止めになるのではないかと考えています。ネットの向こうにいるのも1人の個人(人間)であるということを認識していただければと思います」と意義を語った。

弁護士の懲戒請求をめぐっては、「余命三年」ブログが発端となって、全国レベルで大量におこなわれて、問題になっている。東京弁護士会に所属する別の弁護士が請求者を相手取って慰謝料をもとめた訴訟では、東京地裁が10月23日、請求者に対して33万円の支払いを命じる判決を下している。

(弁護士ドットコムニュース)

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