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パワハラ防止法、6月に施行 漫画で学ぶ「職場のパワハラ」新基準
2020年05月01日 10時01分

2019年5月に成立した「パワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)」の施行が2020年6月1日(対象は大企業。中小企業は2022年4月施行予定)と、目前に迫ってきた。

そんな中、弁護士ドットコム監修の法律実用コミック「マンガで解決! パワーハラスメント〜企業コンプライアンス編(1)〜」が4月30日に双葉社より発売された。同書では、「職場のパワハラ」について主に事業主や管理職が注意すべきポイントが漫画のストーリー仕立てでまとめられており、各話ごとに詳細な解説コラムもかなりのボリュームで付いている。

そこで弁護士ドットコムニュースでは、同書の序章である第0話を公開する。

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以上が第0話だ。監修にあたった弁護士ドットコム提携弁護士の澤田直彦氏と、双葉社の編集プロデューサー・菅間康二氏に、今回の法改正のポイントと、職場でのパワハラ防止にどう向き合うべきかを聞いた。

2019年5月に成立した「パワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)」の施行が2020年6月1日(対象は大企業。中小企業は2022年4月施行予定)と、目前に迫ってきた。

そんな中、弁護士ドットコム監修の法律実用コミック「マンガで解決! パワーハラスメント〜企業コンプライアンス編(1)〜」が4月30日に双葉社より発売された。同書では、「職場のパワハラ」について主に事業主や管理職が注意すべきポイントが漫画のストーリー仕立てでまとめられており、各話ごとに詳細な解説コラムもかなりのボリュームで付いている。

そこで弁護士ドットコムニュースでは、同書の序章である第0話を公開する。

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以上が第0話だ。監修にあたった弁護士ドットコム提携弁護士の澤田直彦氏と、双葉社の編集プロデューサー・菅間康二氏に、今回の法改正のポイントと、職場でのパワハラ防止にどう向き合うべきかを聞いた。

●トップからの発信がないと、なかなか会社は変わらない

ーーパワハラ防止法のポイントは?

澤田弁護士 法改正、そして法改正に基づくパワーハラスメント防止のための指針(パワハラ指針)では、パワハラを定義する3要件、パワハラの6類型、そして事業主の雇用管理上の措置義務も明確化されました。

極めて簡単に言えば「事業主がパワハラ防止の体制を作って社員に周知しろ」ということですね。いくら世間の風潮が変わってきたとしても、実際にトップからの発信がないと、なかなか会社は変わりませんから。

菅間氏 確かに、法整備がなされなければ会社は変わらないでしょうし、会社が変わらなければパワハラは解決しませんものね。

ーーパワハラの6類型とは、どんなものですか?

澤田弁護士 パワハラにも様々なパターンがあるのですが、それを系統別に典型例で細分化したのが6つの類型です。具体的には、「身体的な攻撃」「精神的な攻撃」「人間関係の切り離し」「過大な要求」「過小な要求」「個の侵害」の6つです。

――そのうち、問題視されやすくなるものは?

澤田弁護士 厚労省による調査で最多の相談は「精神的な攻撃」です(「平成28年度 厚生労働省委託事業職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書」参照)。

私も企業法務をする中でよく受ける相談は、ミスをした部下に上司が強く声を荒げてしまうケースです。

菅間氏 今の職場でも、さすがに体罰的な暴力はなくなってきましたが、言葉による暴力や嫌がらせは、まだまだなくなっていないという実感はありますね。

ーーこのパワハラ防止法による措置義務に違反すると、どうなるのですか?

澤田弁護士 その場合は、国が是正を求める指導・助言・勧告を行います。それでもこれらに従わない場合は、企業名が公表されることになります。

菅間氏 でも、普通は公表される前に従いますよね。だから、公表される事例はあまり出てこないような気もします。

澤田弁護士 そうですね。実際は「罰則はないも同然」となるかもしれません。今後の見通してとしては、運用状況を見ながら、罰金などについても議論していく必要があるのではないでしょうか。

対談する澤田弁護士(左)と双葉社の菅間氏 対談する澤田弁護士(左)と双葉社の菅間氏

●悪意なく加害者になってしまう人が出ないようにすることも大事

ーーでは、そうならないためにも、今後の職場では、どのようなことが大切になってくるでしょうか?

菅間氏 会社を取り締まるだけではなく、すべての働く人がパワハラについて正しく理解していなければ、根本的な改善にはつながりません。パワハラの問題というのは、苦しんできた人が救われることも大事ですが、その一方で、知識がないために悪意なく加害者になってしまう人が出ないようにすることも大事です。

そのためには、正確な知識が必要だと思うんです。それがないと、雇用主や上司の側が「これはパワハラと言われるんじゃないか」と自問して、何も注意できなくなってしまうことも考えられますから。

澤田弁護士 確かに明確な線引きはありませんからね。企業法務をしていると、パワハラについて社員とどう接したらいいのか悩んでいらっしゃる雇用主の方の話もよく聞きます。司法の場でも、その判断基準をどうするかが、一番の課題になっているんです。

菅間氏 特に今の40代以上の人たちって、パワハラが割と当たり前だった時代に若い頃を過ごしている世代、つまり、「パワハラを受けて 大人になった世代」じゃないですか。そんな世代の人たちが、いざ管理職や上司になった時に、自分が正解だと信じてきたコミュニケーションが否定されてしまうわけですよ。

だから、後輩をどう指導したらいいかもわからなくなってしまっているし、気付かずにパワハラしてしまったりしているのが現状だと思うんです。今回の本は、まさにそんな板挟み の世代の人たちにも読んでほしいですね。何が良くて、何が悪いのか。素朴な疑問にわかりやすく答えたい。そのための漫画なんです。漫画だからこそ、伝わりやすいニュアンスもありすので、様々な状況をイメージしてもらいやすいと思います。

――では最後に、そんな雇用主や職場での上司の人たちにの心構えとして、どんなことが大切になってくるかを教えてください。

澤田弁護士 働き方の価値観って、今後もどんどん変わっていくと思うんですよね。たとえば、ずっと社員が職場にいることで業績が上がるという現在の価値観も、昨今の新型コロナの影響で在宅勤務に切り替えたら、業績が下がるどころか上がったところもあるかもしれません。

同様に企業の人材育成についても、ひと昔前とはだいぶ考え方が変わってきていて、叱るよりも褒めて育てることで人の能力は上がると言われています。強い口調でなくて、褒めて伸ばしたら業績が上がるかもしれません。そうした職場の雰囲気づくりを心がけてみることが、まずやるべきことなのではないでしょうか。

菅間氏 職場の雰囲気って、大事ですよね。この本の漫画ではパワハラの全類型について研究しているのですが、その全話において、大まかに言えば「関係性がよければ、パワハラにならない」という結論になっています。自然と仲良い職場を作るのが一番でしょうね。

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ちなみに、この「マンガで解決!パワーハラスメント」は、企業コンプライアンス編の第1巻となっている。次巻では「職場のセクハラ」について解説をしていくそうだ。

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