954.jpg
スタバに「爆竹」投げ込み「ネット中継」 そんなバカ騒ぎをあおった視聴者の責任は?
2014年04月30日 11時09分

名古屋市内のスターバックスに爆竹を投げ込み、バチバチとはじける様子をインターネットの動画サイトで生中継――。そんな呆れた行動に出た20代の男2人組が4月上旬、ネットで問題になり、警察の取調べを受けた。

ネットで拡散した動画を見ると、視聴者からは「景気よくいこう」「すぐ逃げればいいじゃん」といったコメントも寄せられていたようだ。動画には、男たちが爆竹を店に投げ入れた後、寄せられたコメントを楽しげに読み上げる様子も収められていた。

彼らの様子を見ていると、コメントが犯罪行為をあおっている、という側面もありそうだが・・・。一般論として、こうしたコメントを書き込んだ視聴者が、何らかの罪に問われることはあるのだろうか。伊藤諭弁護士に聞いた。

名古屋市内のスターバックスに爆竹を投げ込み、バチバチとはじける様子をインターネットの動画サイトで生中継――。そんな呆れた行動に出た20代の男2人組が4月上旬、ネットで問題になり、警察の取調べを受けた。

ネットで拡散した動画を見ると、視聴者からは「景気よくいこう」「すぐ逃げればいいじゃん」といったコメントも寄せられていたようだ。動画には、男たちが爆竹を店に投げ入れた後、寄せられたコメントを楽しげに読み上げる様子も収められていた。

彼らの様子を見ていると、コメントが犯罪行為をあおっている、という側面もありそうだが・・・。一般論として、こうしたコメントを書き込んだ視聴者が、何らかの罪に問われることはあるのだろうか。伊藤諭弁護士に聞いた。

●「心理的に容易にさせること」はほう助になりうる

「まず、営業中のカフェに爆竹を投げ込む行為は、威力業務妨害罪にあたります。問題は、そのような行為をあおるコメントを書き込むことが、この犯罪の『ほう助犯』にあたるかどうかです」

このように伊藤弁護士は切り出した。「ほう助犯」とはなんだろう?

「ほう助犯とは、その犯罪を自ら実行するのではなく、何らかの方法で、正犯の犯行(実行行為)を容易にさせることをいいます」

この「正犯」とは、その犯罪行為をした人のことだ。

「ほう助行為は、物理的に容易にさせるだけでなく、心理的に容易にさせることも含まれます。

したがって、今回のようなコメント方式での書き込みも、威力業務妨害罪のほう助犯にあたる可能性はあります」

すると・・・書き込みをした人が処罰される可能性もある?

「もっとも、こうしたほう助犯を、現実に犯罪として立件できるかというと、それほど簡単な話ではありません」

どういうことだろうか。

「この男たちは、たしかに視聴者からのコメントを期待して、注目を集めるような行為をしたのだろうと考えられます。

しかし、彼らが個々のコメントに勇気づけられ、それによって犯行が容易になったとまでいえるか、難しいところがあります。

また、コメントをした人が、この男たちの行為について、どこまで認識をしていたかという問題もあります」

●ほう助犯で処罰されるのは「よほど悪質なケース」だけ

そのあたりが明らかになっていないと、実際にほう助犯だとして責任を問うのは難しいようだ。

「そうですね。ほう助犯は、その性質上、どこまでも処罰範囲が拡大されてしまうおそれがあります。そこで、現実に処罰されるのは、よほど悪質なケースに限られる傾向にあるのです。

なお、威力業務妨害の実行行為が終わったあとに、賞賛するようなコメントをしても、ほう助犯にはなりません。犯行後に『犯行を容易にする』ことはできないからです」

それでは、あおるようなコメントは法的には問題ない?

「いいえ、犯行をあおるのはよくないことです。犯罪として処罰されるかどうかにかかわらず、無責任なコメントが、過激な行為を助長するという側面はあります。また、場合によっては、あおった人が民事上の損害賠償責任を負う可能性もあります」

このように伊藤弁護士は指摘し、安易なコメントに警鐘を鳴らしていた。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る