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道交法改正で認知症対策強化、当事者団体「一括禁止ではなく、個別に技量判断を」
2017年03月14日 19時20分

認知症対策を強化した改正道路交通法が施行されたことを受けて、認知症当事者でつくる日本認知症ワーキンググループ(JDWG)が3月14日、厚労省記者クラブで会見を開き、当事者の声を踏まえた運転免許制度を求める提案書を発表した。

提案の柱は、(1)当事者の意見を踏まえた制度設計、(2)認知症を一括りにしないこと、(3)運転技量に応じて判断すること、(4)免許取り消し後も、安心して暮らせる仕組みづくり、(5)安全運転が難しい当事者は、運転をやめるべき、の5つ。提案書は、前日の13日に、警察庁に提出された。

認知症対策を強化した改正道路交通法が施行されたことを受けて、認知症当事者でつくる日本認知症ワーキンググループ(JDWG)が3月14日、厚労省記者クラブで会見を開き、当事者の声を踏まえた運転免許制度を求める提案書を発表した。

提案の柱は、(1)当事者の意見を踏まえた制度設計、(2)認知症を一括りにしないこと、(3)運転技量に応じて判断すること、(4)免許取り消し後も、安心して暮らせる仕組みづくり、(5)安全運転が難しい当事者は、運転をやめるべき、の5つ。提案書は、前日の13日に、警察庁に提出された。

●「生活基盤」失う可能性も…

3月12日に施行された改正道路交通法では、75歳以上の高齢ドライバーについて、免許更新の際、検査を受けて認知症と診断されると運転免許証が取り消し、または停止となる。

JDWGは、今回の改正が認知症に対する偏見を助長するのではないかと危惧している。共同代表の佐藤雅彦氏(62)は「認知症なら免許を返納すれば良いという考えがあるが、本人の生活基盤が奪われ、仕事や生きがいのための活動も阻害されてしまう。中には若年性の痴呆症の人もいる」と警鐘を鳴らす。JDWGにとって、現在の議論は、高齢者全般で起こりうることと、認知症に伴うことが混同されているように映るそうだ。

JDWGが求めるのは、客観的にドライバーの技量を確認する仕組みづくりだ。特に車社会の地方では、移動手段を失うと一気に不便になってしまう。本人の利便性をできる限り確保しつつ、安全性が保てなければ、免許の返納を求めるような制度が必要だという。同時に、免許がなくても安心して生活ができるよう、乗合タクシーなど、「生活の足」を充実させることも重要だという。

今回の提言の中でJDWGは、「当事者団体として、安全運転が難しい当事者に自主返納を呼びかける活動をしたい」とも記している。実際、共同代表の佐藤氏と藤田和子氏(55)は運転をやめている。藤田氏は「何がなんでも運転したいわけではなく、社会の安全を願っている。現状を把握し、現実的な方策を(社会全体で)一緒に考えていければ」と話していた。

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