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結婚資金100万円をゲームの課金に使ってしまった 「婚約破棄」されても仕方ない?
2015年04月15日 10時35分

「彼女と貯めていた結婚資金を、スマホゲームの課金に使ってしまった」。結婚を控えたある男性が、ネット上の掲示板にこんな書き込みを投稿した。男性が使った金額は総額100万円にも及ぶ。同棲していた彼女は怒って、実家に帰ってしまったそうだ。

男性は「彼女が出資した分は返すつもり」といい、彼女に誠意を見せるために、ゲームのアプリも消去し、復縁を望んでいるという。

しかし、結婚資金を勝手に使われた女性が、怒りを通り越して「婚約破棄」を考えても不思議はない。今回のようなケースの場合、男性は婚約を破棄されても、仕方ないのだろうか。

「彼女と貯めていた結婚資金を、スマホゲームの課金に使ってしまった」。結婚を控えたある男性が、ネット上の掲示板にこんな書き込みを投稿した。男性が使った金額は総額100万円にも及ぶ。同棲していた彼女は怒って、実家に帰ってしまったそうだ。

男性は「彼女が出資した分は返すつもり」といい、彼女に誠意を見せるために、ゲームのアプリも消去し、復縁を望んでいるという。

しかし、結婚資金を勝手に使われた女性が、怒りを通り越して「婚約破棄」を考えても不思議はない。今回のようなケースの場合、男性は婚約を破棄されても、仕方ないのだろうか。

●婚約が成立しても、結婚を強制できない

男女関係の法律問題にくわしい楓真紀子弁護士は、開口一番「あくまでも私の個人的な見解ですが、この男性は、彼女から婚約破棄されても仕方がないと思います」と、厳しい見方を示した。

そもそも「婚約」は破棄できるものなのか。

「婚約とは、『将来結婚しよう』という合意に基づく契約です。そのため、婚約が成立すると、将来の結婚に向けてお互いに誠実に努力する義務を負います。ただ、だからといって結婚を強制することはできません」

つまり、婚約が成立しても、何らかの理由や事情で、どちらかに結婚する意思がなくなった場合は、婚約は破棄できるのだ。

楓弁護士によると「どんな理由でも婚約を破棄できますが、正当な理由がない場合には、慰謝料を払う必要があります」という。

「誠心誠意をもって夫婦になろうと合意し、婚約が成立したのに、『何となく嫌になった』とか『他に好きな人ができた』といった理由で簡単に婚約破棄が認められたら、相手はたまりません。

正当な理由なく婚約を破棄することは違法ですので、相手が受けた精神的苦痛に対する慰謝料を支払わなければなりません。これに対し、婚約を破棄する正当な理由がある場合は、違法性がなく、相手に慰謝料を支払う必要はありません」

●「結婚資金をゲームに使った」ことは、婚約破棄の理由になるか

では、「結婚資金をゲームに使ってしまった」ことは、婚約を破棄する正当な理由といえるのだろうか。

「使い込んだ金額や使い込みの態様にもよりますので一概には言えませんが、今回のケースでは、使い込んだ金額の多さと使い道が問題です」と楓弁護士は指摘する。

「婚約した相手の金銭感覚の違いや金銭に関する言動から、きちんと結婚生活を送れるだろうかと不安になり、婚約解消を申し出ることは、よくあります。

それが正当な理由といえるかどうかは、その理由としてあげる事実が、『将来の夫婦生活の円満な遂行を妨げる事由』といえるかどうかによります。

この男性は、結婚のために彼女と2人で一生懸命積み立てた100万円もの大金を、スマホゲームという遊びのために、課金をやめられずに、無断で使い込んでしまっています。

この一件によって、『自分の欲求を制御できず、後先考えずに、衝動的に大金を使い果たしてしまう人間である』ことが露見したわけです。

この男性は、将来夫婦になってからも、子供の学費のために貯めた大切な貯金を、一時の衝動で勝手に使い込んでしまう人かもしれません。そのような相手では、円満な夫婦生活は送れませんよね。

したがって、将来における夫婦生活の円満な遂行を妨げる事由と思われますので、今回のケースで婚約を破棄した場合、正当な理由があるといえるでしょう」

最後に楓弁護士は、こう語った。

「男性は、結婚のための大切な貯金を無関係の遊びのために使い込んだのですから、婚約を破棄されても仕方がないでしょう。たとえゲームのアプリを消去しても、彼女の信頼を取り戻すのは、なかなか難しいでしょうね」

(弁護士ドットコムニュース)

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