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キャリーバッグ事故「足ひかれてケガ」「つまづいて転倒」裁判に発展するケースも
2017年01月02日 09時54分

重い荷物も楽に運べ、旅行や出張に便利なキャリーバッグ。しかし、近くを歩いている人の足の甲を車輪でひくなどのトラブルも発生しているようだ。

ツイッターには「後ろの人のキャリーバッグに足轢かれてガッ!てなって転びそうになった」「エスカレーターの一番上からキャリーバッグが滑走して逝った」などのツイートが見られた。

裁判にまで発展し、キャリーバッグを曳いていた人に賠償を命じる判決も出ているという。思わぬトラブルを防ぐために、キャリーバッグを使う人は、どのような点に注意すればいいのか。伊澤大輔弁護士に聞いた。

重い荷物も楽に運べ、旅行や出張に便利なキャリーバッグ。しかし、近くを歩いている人の足の甲を車輪でひくなどのトラブルも発生しているようだ。

ツイッターには「後ろの人のキャリーバッグに足轢かれてガッ!てなって転びそうになった」「エスカレーターの一番上からキャリーバッグが滑走して逝った」などのツイートが見られた。

裁判にまで発展し、キャリーバッグを曳いていた人に賠償を命じる判決も出ているという。思わぬトラブルを防ぐために、キャリーバッグを使う人は、どのような点に注意すればいいのか。伊澤大輔弁護士に聞いた。

●つまづいて骨折、「100万円強」の賠償命じたケースも

キャリーバッグを曳いていた人に賠償を命じた判決とは、どのような内容なのか。

「これは、駅構内において、被告の曳いていたキャリーバッグが、対面からすれ違った原告の足に当たって、原告がつまずき、骨折などの傷害を負ったという事案について、100万円強の損害賠償責任を認めたという判決です(東京地裁平成27年4月24日判決)。

この判決は、一般論として、『歩行者が、駅構内のような人通りの多い場所でキャリーバッグを使用する場合には、曳いているキャリーバッグが他の歩行者の歩行を妨げたり、それに躓いて転倒させることがないよう注意すべき義務を負う』と判示しています」

人通りが多い場所での歩行者同士トラブルに関する裁判例は、これだけではないという。

「キャリーバッグの事故ではありませんが、駅改札口付近で歩行者同士がぶつかり、転倒負傷した事案について、同様の注意義務を認めた裁判例があります(東京地裁平成17年4月25日判決)。

この判決では、事故当時の駅のコンコースのように、様々な人の流れがあり、歩く人で相当混雑しているような状況においては、『被告において、人の流れに沿って歩いていたとしても、前方を相当程度の注意をもって注視し、他に歩く人との無用の接触を避けるべき注意義務がある』と判示しています」

●ただ歩く時よりも、いっそう周りに注意する「義務」がある

こうした裁判例から、どんなことがわかるのだろうか。

「歩行者には、次のような注意義務があると読み解けます。

(1)人通りの多い状況下では、人の流れに沿って歩いていたというだけでは注意義務を果たした(損害賠償責任を負わない)とはいえない。前方をしっかりと見て、できる限り他人と接触しないよう注意して歩行しなければならない。

(2)キャリーバッグを後方で曳いて歩く場合には、自分の身体だけでなく、いわば自ら手足の延長として、キャリーバッグ自体も他人に接触しないように注意しなければならない。キャリーバッグを曳かずに歩行している場合よりも、その分、注意義務の質や範囲、リスクが拡大する」

●キャリーバッグを曳いているとき注意すべきことは?

キャリーバッグの使用者は、具体的にどんなことに注意すればいいだろうか。

「通常、キャリーバッグは自分の身体の後方で曳いて使用しますよね。比較的、人通りの少ない道路・通路などでは、そのような使い方でも前方を注視して歩いていれば、損害賠償責任を負うリスクは少ないでしょう。

そうした状況下において、後方から歩いてきた人がキャリーバッグに接触し転倒したとしても、それはもっぱら転倒した人の過失であり、キャリーバッグを曳いていた人に過失はないと言えます。

しかし、様々な人の流れがあり、混雑している駅構内や繁華街、店舗内などでは、できる限り損害賠償リスクを減らすため、漫然とキャリーバッグを自らの視野に入らない後方で曳くようなことはせず、自らの身体の前に持ってきて、周り(特に前方)に注意しながら、押して歩くべきでしょう」

伊澤弁護士によると、「注意すべきなのは、歩行中だけではない」という。

「東京簡裁平成16年4月15日判決は、東京駅の改札付近で立ち話をしていた被告が、その後、左側に向かって歩こうとして、瞬間的にキャリーバッグを動かしたところ、キャリーバッグの車輪(コロの部分)が、歩いてきた原告の左足甲の部分を轢き、負傷させてしまったという事案についても、損害賠償責任を認めています。

したがって、立ち止まっていた状態から歩き出す時など瞬間的に違う動作に移る場合にも、まわりの状況をよく確認してから行動に移すことが必要です」

(弁護士ドットコムニュース)

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