9983.jpg
「仕事がなく、子どものお年玉を取り崩した」「数日食べてない」コロナ労働相談 全労連発表
2020年12月09日 19時55分

仕事を失い、ついに子どものお年玉にまで手をつけたーー。

全国労働組合総連合(全労連)による「全国一斉コロナ労働相談ホットライン」(11月27日実施)に201件の相談が寄せられた。

ホットラインは、正規・非正規を問わず、労働者からの相談に答えるもの。12月9日、結果が報告された。

仕事を失い、ついに子どものお年玉にまで手をつけたーー。

全国労働組合総連合(全労連)による「全国一斉コロナ労働相談ホットライン」(11月27日実施)に201件の相談が寄せられた。

ホットラインは、正規・非正規を問わず、労働者からの相談に答えるもの。12月9日、結果が報告された。

●「非正規労働者の男性」からの相談が目立つ

全体件数201件は、2019年秋実施の約2倍(116件)。

労働者の属性は男性6割、女性4割。年代別では50代以上(52.2%)が過半数を占めた。雇用形態は、正社員が39%、非正規が44.5%。男性非正規の相談が目立つのが特徴だ。

その中で、全体件数から「不明」なものなどをのぞいた137件のうち、コロナに起因すると思われる相談は73件だった。

コロナに関する相談を分類すると、多い順に「賃金・残業代未払い」、「解雇・雇い止め」、「労働時間・休暇」、「ハラスメント・いじめ」に集約された。

ホットラインのほか、全労連に10月〜11月寄せられた相談とあわせて、事例の一部を紹介する。

・コロナ解雇

「コロナで解雇されたが、派遣の寮にいる。引っ越し代、当面の家賃などを援助してもらえる制度はないか」(50代・男性・派遣)

「会社の取引先からコロナの影響で仕事がこなくなり、役員から1月で辞めてくれと言われている」(トラック運転手)

・退職勧奨

「3月末まで週3〜4日勤務で、月収が6万円。4月から週1日になり、月収が1万円に。10月23日、会社から月末で来なくてよいと言われたが、解雇ですか?と聞くと、解雇ではないと言われた。自己都合退職にしてほしいと言われたが断った」(40代・女性・パート・菓子販売)

・ハラスメント

「コロナで(夫の)仕事が減っている。配車が偏り、意見を言ったら暴言を浴びせられる」(タクシー運転手の妻)

「先輩従業員から『目障り』『イライラする』などと怒鳴られる。コロナで仕事が少なくなっており、転職は厳しい」(50代・男性・食品関係工場)

・困窮

「コロナで失業し、貯金が底をつき数日間ものを食べていない」

「コロナ前に離職。昨年11月から就活しているが、コロナの影響で仕事が見つからない。失業手当が11月中旬で終了する。それ以降生活ができない」(50代・男性)

「夫は単身赴任。私はコロナ前は月収20万だったが、8月からは仕事がない。介護保険、市民税が払えず、子どものお年玉を取り崩した10月は本当に苦しい。ご飯も満足に食べさせられず、健康保険がないので私も子どもも歯医者に行けない」(女性・派遣)

ほか、休業手当の支払いがないといった相談や、カラオケ店経営者から「収入ゼロ」などの相談もあった。

●特例措置の延長ではなく、恒常化を

雇用調整助成金の特例措置は2月末まで延長された。しかし、全労連では、特例措置の恒常化を厚労省などに求めている。

副議長・清岡弘一さんは、今回の労働相談を受けて、自己都合退職の強要や、ハラスメントが目立つと指摘する。

「コロナで転職事情は非常に厳しいものの、使用者は労働者を解雇させずに、辞めさせる方向に追い込んでいると感じる」

企業側が、雇調金を受け取りつつ、人員整理するため、直接的に解雇・雇い止めをするのではなく、パワハラなどによって自主退職させる事例が見受けられるという。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る