この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
依頼者は、友人から在日アジア人を紹介され、そのアジア人から2通の預金通帳と印鑑を渡され、2件の金融機関で各々預金を引き下ろして欲しいと頼まれ、引き下ろしてアジア人に渡したら、その通帳は盗まれた物であったので、後に逮捕勾留され、親族から弁護を頼まれました。罪名は2件にかかる有印私文書偽造、同行使、詐欺です。
解決への流れ
話を聞くと、預金通帳は日本名であったが在日外国人には通名で日本名をもっている人もいるので当初、盗まれた物とは思わなかったそうです。ところが、1件目はスムーズに預金引き下ろしができたのですが、2件目では金融機関から印鑑が違うと言われ、「ヤバイ」と感づいたものの、乗りかかった船だと思い、その場で改印手続を行い預金を引き下ろしました。そこで、記憶、心情のとおり、1件目は犯罪の故意がないと否認し、2件目は未必の故意を認めて公判に臨むと、1件目は無罪で、2件目は有罪、それも実刑でした。2件目については被害者に一部弁償したのですが、被害金額約300万円のうち1割も返済できなかったので執行猶予までは無理でした。
捜査段階から60回以上面会したことで、1件目につき否認を貫きました。2件目については、引き下ろしという単純行為ではなく銀行印の改印までし、盗んだ通帳であると「ピン」ときたそうなのでとぼけることは不可能でした。1件目では検察官が在日外国人が日本名で預金通帳を作ることはできないという立証をしたので、在日韓国人である弁護人が自ら所有していた日本名の預金通帳を証拠提出して反証しました。