この事例の依頼主
30代 男性
相談前の状況
不貞が相手の夫にばれて慰謝料を請求された男性の相談。不貞自体は素直に認め、それなりの金額を支払うつもりもありました。ところが、相手が請求してきた金額は2000万円という大金。しかも、弁護士を付けて2000万円を請求してきました。自分で交渉しても全く埒が明かず、弁護士に依頼することになりました。
解決への流れ
弁護士から、相手方弁護士に対して、2000万円という金額が認められないことを丁寧に説明しました。ところが、相手方は一切譲る気配がありません。素人が非常識な金額に拘ることは珍しくありませんが、弁護士が就任しているにもかかわらず、この態度を崩さないのは非常に珍しい事例です。そこで、120万円という現実的な金額を提案してみたのですが、それでも、全く話になりません。ところが、こちらから回答を督促しても、徐々に連絡が来なくなり、最後の交渉から3年が経過してしまいました。不貞慰謝料の時効は3年間なので、時効が完成したことになります。そこで、もはや、慰謝料請求する意思は相手に無いものと判断し、事件終結となりました。
非常に特殊なケースです。こちらは不貞を明確に認めており、適正な金額であれば支払う意思がありました。実際に120万円という金額も提案しています。普通の相手なら、自分の希望額は無理だとしても、120万円でも、貰えるものなら貰っておこうと考えるでしょう。ほとんどの事件では、請求する側は、自分が納得のできない金額であっても、渋々ながら、最終的には和解に応じることになります。しかし、本件では、請求する意思が長続きしなかったのか、それとも嫌がらせをして苦しめるのが目的だったのか、交渉しても交渉しても、1円も譲らず、弁護士抜きで2人で話したいと要求するなど、一向に交渉が進展することがなく、とうとう和解が成立しませんでした。和解できなかったので、依頼者の方に申し訳ない気持ちもありますが、逆に、依頼してもらって良かったと思っています。このような非合理的な行動を繰り返す相手方と延々と話し合いを続けるのは、依頼者にとって、相当なストレスだったはずです。しかも、相手には弁護士が就いているのですから、いつ訴訟になってもおかしくない状況でした。依頼者のストレスを緩和し、盾となるのも弁護士の役割なのです。また、このケースから、弁護士だからといって常識的な交渉をする者ばかりではないことが理解していただけると思います。現在、相手に弁護士がついて交渉している方もいると思いますが、相手の弁護士が言っていることを鵜呑みにすると大変なことになるかもしれません。当事務所では、同種の事件を相当数経験し、日々他の裁判例を研究することで、適切な交渉を行う準備を整えています。お困りの方は、ぜひ一度お問い合わせ下さい。