この事例の依頼主
30代 男性
相談前の状況
相談者は、未成年に対する強制わいせつ(現行の不同意わいせつ)事件で、警察から任意聴取の呼出しを受けた男性でした。警察によると、男性が、半年以上前に路上で声を掛けた女性は、実は、未成年で、被害届が出ており、裏付け捜査が進められていたということです。男性は、まさか半年以上も前のことで被害届が出ているとは思わず、突然のことで、今後、逮捕されたり、起訴されるのではないかを心配している様子でした。未成年との示談交渉の場合、親権者である親の同意も得なければ、有効な示談を成立させることができません。しかも、強制わいせつ事件(現行の不同意わいせつ事件)では、警察も、被害者と加害者の接触を防止したいと考えるため、時間が経過すると、逮捕勾留の可能性がありました。逮捕や起訴を回避するには、示談を成立させるのが、最も重要になってきます。
解決への流れ
警察を通じて早期に被害者に示談の申入れを行いました。幸い被害者本人は示談に応じる意向があるということでしたが、未成年者のため、両親双方の了承を得る必要があります。父母で考え方が異なることがありますので、それぞれの反応を見ながら、慎重に話をさせていただきました。その結果、両親の了解を得て、送検前に70万円で示談を成立させることができました。
強制わいせつ事件(現行の不同意わいせつ事件)は、親告罪ではなくなったため、法律上は、告訴がなくても起訴することができます。しかし、被害者の証言が重要な犯罪であり、被害者の積極的な協力がない限り、実際には、起訴は困難なため、示談が成立した場合には、不起訴の可能性が極めて高くなります。ただし、被害者が未成年の場合には、本人はもちろん、両親も怒り心頭の場合が多く、早急に連絡を取って謝罪を行わなければ、怒りが固着して後の示談が困難になる可能性があります。また、検察としても、被害者が未成年の場合、簡単に許してはならないと考えますから、送検前に示談できればベストです。警察は、送検する際、処分に関する意見を付記するので、送検前の示談は不起訴を獲得するのに極めて効果的です。また、本件では、被害申告から、半年以上経過してから任意聴取が行われています。被害者の供述調書作成や、防犯カメラ映像の解析など、裏付け捜査を終えてから任意聴取や逮捕に至るため、警察が捜査していても、半年以上、そのことに気づかないということは珍しくありません。警察から連絡を受けたときには、示談交渉のための時間的猶予が少ないことも珍しくないため、早めに行動を起こすことが重要です。