この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
相談者は独り住まいの方で、大家からアパートを建て替えるので立ち退いて欲しい、引越業者の費用くらいは出すと言われていました。出ていくのは仕方ないが、荷物の整理はあるので時間の余裕が欲しいのと、新居を契約する資金がないため、困って相談にお越しになりました。他の入居者はすでに引き払ったり、立退きの条件を了承している、ということのようです。自分だけぐずぐずしていると不利益があるのか心配しておられました。
解決への流れ
立退きの条件があまりに低いので受任して交渉に当たりました。立退料として引越費用に加えて新居の契約に必要な仲介手数料その他の諸々の費用に若干の上乗せをさせました。また、立退まで3か月の猶予をもらい、それまでの賃料は無料にしてもらいました。敷金も全額戻ってきました。
賃貸人側は、相談者が法的知識に詳しくない一般人であることから、低い条件で立ち退かせようとしていることは明らかでした。そこで代理人による交渉に切り替え、適正な水準の立退料を要求しました。相談者が実質的に最後の一人であるということでしたので、早く仕上げてしまいたい賃貸人側の事情を見越して、あえてじっくり腰を据えて交渉する姿勢を見せたところ、条件上乗せに応じるようになりました。賃貸人が個人で予算に限りがあったため、立退料の上乗せに限界はありましたが、フリーレントを条件に加えることで、相談者の経済的メリットを大きくすることができました。立退き交渉は居住用/事業用、入居期間、立ち退きを求める事情など、取り巻く事情によって千差万別です。本件は弁護士を代理人にしたことが良い結果につながりました。場合によっては弁護士には継続的に相談するにとどめ、ご自身で交渉する方もおられます。その見極めも含めて、一度相談されることをお勧めします。