この事例の依頼主
60代 男性
相談前の状況
医療法人で、退職金規程の整備を指示されていた職員が、退職金規程が理事長からは承認を受けたものの正式に医療法人の理事会で承認される前に、当該退職金規程をもとに自らに対する退職金の支給を事務方に指示した点が、理事会での承認を経ていないとして問題視され、法人を騙して退職金を得ようとしたとして、懲戒解雇されました。
解決への流れ
退職金規程及びこれに基づく具体的な支給金額の双方について理事長の承認を得ていたこと、理事長の権限とこれに対する内部規程や理事会による制限の可否等について、粘り強く主張立証したところ、勝訴に近い和解として、約1200万円を勝ち取ることができました。
本件では、相談者様が各種規程を整備するような役職であったため、最初から各種規程を比較検討することができ、具体的に検討を進める中で、内部規程の解釈や医療法等の解釈まで含めて、理事会の承認を経なくても理事長が承認していれば退職金規程の制定や退職金の支給は可能ということを粘り強く主張していくことができました。また、本件は、懲戒解雇の後、法人内で、名指しこそされていないものの、相談者様が退職金を自らに支給させようとしたことにつき、社内のイントラネットで公然と犯罪者呼ばわりされており、本当にお気の毒な事案でした。失った名誉が回復するわけではないものの、よい解決になり、しっかりと一矢報いることができたのではないでしょうか。