この事例の依頼主
20代 男性
相談前の状況
組織的なRV車窃盗団の一員として窃盗ほう助罪に問われた事件です。男性はガソリンスタンドに勤務していました。そこへ客として先輩が表れ,雑談をしていたところ,先輩から,RV車が来たら鍵番号と車両番号を教えて欲しいと頼まれました。男性は,尊敬する先輩からの頼みということもあり,犯罪行為とは知らずに数台の車のナンバーと鍵番号を教えました。数日後,窃盗ほう助罪で逮捕されてしまいました。
解決への流れ
窃盗の故意,つまり「犯罪だと薄々気づいていたかどうか」が争われた事案です。とにかく,警察の調書を取らせないよう,毎日接見しました(ちなみに,地方の事件です)。警察は「犯罪だとはっきりとわからなかったが,よく考えれば犯罪だと分かったと思います」というような,いわゆる未必の故意を認めたかのような調書を作成しようとしましたが,頑としてこれを拒否しました。一方で,男性との接見を通じて,男性が犯罪行為を意識していなかったことを示す事実を見つけました。男性は,RV車以外の車についても,先輩を喜ばせようと鍵番号を教えていたのです。このことは,「先輩がRV車の窃盗をしようとしていた」という事実を知らなかったことを推認させる事実なので,検察庁にもその事実をすぐに伝えました。最終的には,嫌疑不十分で不起訴となり,釈放されました。
逮捕勾留されると,普段強いと思っている人も弱気になります。一度調書を取られてしまうと,それをひっくり返すのはとても難しいです。今回の件は,本人が勾留中,調書を取られまいと頑張ったことが成果につながりました。