この事例の依頼主
40代 男性
相談前の状況
アパートの上下階に住んでいて被疑者と被害者が顔見知りの事例です。被疑者(男性)が被害女性と家の前で会った時に意気投合し,飲みに行くことになりました。飲んでいるうちに良い雰囲気になったため,キスをしたところ,女性は拒みませんでしたが,性交渉に及ぼうとしたら拒まれました。そのため男性は行為を中止したのですが,気まずくなって帰宅しました。翌朝,インタフォンが鳴ったので玄関を開けると,警察が来ていて逮捕されてしまいました。これは私の知人が被疑者として逮捕された事件です。新聞報道で発見し,警察署に駆けつけたところ,事実とは異なるとのことだったので,刑事援助事件として受任しました。
解決への流れ
新聞報道では「男性が宅配便を装って呼び鈴を押し,そのまま押し入った」とされていました。しかし,顔見知りでもあるのに,顔を隠さないままそのような強引なやり方で家に侵入するのは不自然です。そのため,その矛盾を指摘したうえで,男性が顔を隠してもいなかったこと,一緒に飲む約束をして家に入ったので,自宅にビールの空き缶が残っているはずであることなどを検察官に伝え,勾留処分に対しては裁判所に対し準抗告を求めました。裁判所への準抗告は却下されてしまいましたが,検察官は弁護人の意見を相当程度酌みとってくれたようで,勾留満期を待たず,7日目に被害者の告訴を取り下げさせ,釈放してくれました。
強姦事件は密室で行われることが多いので,女性の証言だけで逮捕・勾留という重大な不利益を受けることが多いです。残念ながら一旦起訴されてしまうと,裁判所は無罪をなかなか出してくれません。早期の身柄解放も必要ですので,出来る限り早期に受任し,こちらに有利な証拠や事実を検察官にぶつけて行くことが重要です。強姦事件については,ほかにも数件不起訴を勝ち取ったことがあります。