この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
建設業に3年ほど勤めていたところ、早朝出勤や夜8時頃までの残業が発生していたが、給与明細には残業代名目の支払いがなかった。会社に、残業代の存在を主張したところ、その従業員は会社の役員であるから、残業代を支払う必要はないと回答され、支払いが拒絶された。
解決への流れ
従業員の代理人に就任し、会社側に対し、その従業員はいわゆる「管理監督者」には当たらず、残業代の支払いが必要であること、残業代金額の算出のために、雇用契約書、就業規則、給与明細の開示を求めた。会社から開示が得られたため、当該資料に基づき、残業代を計算し、会社側へ請求した。会社側にも弁護士が代理人となったが、請求額の9割、280万円ほどの残業代の未払いが認められ、裁判手続き前に支払いを受けることができた。
コンビニの店長や介護施設の施設長など店舗責任者が、会社側から「管理監督者」に当たるので残業代は支払わないと言われることはままある。「管理監督者」といえるための一つの要素に、「経営者と一体的な立場にあること」というものがあるが、この要素を満たすことは意外に難しく、残業代が支払われなければならないケースが多い。また、現時点で手元に契約書、就業規則や給与明細がなくとも、残業代の発生自体が確認できれば、会社側から資料の開示を受けることができるので、あきらめずに相談していただきたい。