この事例の依頼主
男性
相談前の状況
ある日、Cさんは、身に覚えのない通貨偽造の罪及び偽造通貨行使の罪で逮捕されました。
解決への流れ
私は、Cさんの親族から依頼を受け、弁護人に選任されました。私は、ほぼ毎日、Cと面会しました。そして、Cさんに、家族のメッセージを伝えたりして励ましました。また、Cさんから、取調べの内容を確認し、自白の強要がなされていないかを確認しました。また、Cさんに、捜査官の質問の意図などを、丁寧に説明し、取調べの対策を行いました。その結果、Cさんは、頑張って過酷な取調べを耐え抜き、証拠不十分で不起訴処分となりました。
頻繁に面会を重ね、虚偽の自白調書の作成を防ぐことができたため、不起訴に持ち込むことができました。捜査官は、「被疑者に騙されてはいけない」という強い意識を持って取調べに臨むので、犯行を否認している被疑者=嘘つきと考えています。だから、犯行を認めていない被疑者に対しては、真実が何なのかを知りたいという視点ではなく、なんとしてでも嘘を見破って自白させてやるということに重点が置かれてしまいます。そのために、自白を強要されることがあります。時には、強い口調で攻め立てられたり、事件とは無関係に人格を非難されたり、自分の両親の人格まで否定されることもあります。いすや机をけられるということも珍しくありません。また、捜査官は、被疑者が自分の行動を説明しても、「なんで?」「なんで?」さらに突っ込みを入れるような取り調べが行われることが多いです。人間誰しも、常に合理的な行動をとっているわけではありません。しかし、「普通こうだよね。君の説明していることは合理的じゃないよね。」「ふつうはこういう行動をとるよね。君の説明している行動は合理的じゃないよね」と強い口調で攻めたてられると、人は、確かに、普通はこうだよな、とパニックになることも多く、その通りかもしれませんね、と捜査官の描いた合理的なストーリーを認めてしまう人もいます。また、あまりにも取調べが過酷なので、精神的に疲れてしまって、早く取調べを終わらせるために自白する人もいます。後日、裁判官に正直に話せばわかってくれると考えている人もいるようですが、裁判官は神様ではありません。虚偽の自白をした際、暴力が振るわれたなどの客観的証拠や、明らかに自白が客観的証拠と矛盾するなどの事情がない限り、虚偽の自白をそのまま真実として取り扱われてしまいます。このような虚偽の自白を防ぐためには、被疑者の精神力と弁護士のサポートが必要不可欠です。