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揺れまくる同僚の「バランスボール」にドン引き、私物の持ち込みは制限できる?
2018年05月06日 09時18分

狭い通路で、ぐらんぐらんと揺れる女性のシルエット。東京都内のメディア関連企業に勤務するY子さんの職場では、同僚のA美さんがバランスボールに乗ってデスク作業をする姿を皆がヒヤヒヤしながら見守っている。

中途入社のA美さんは、誰に断ることもなく、職場にバランスボールを持ち込んだ。会社が用意した椅子も勝手に撤去したという。「A美さんはバランス感覚が悪いようで、必要以上にぐらんぐらんと揺れています。通路が狭いので、頭を打ったり、誰かにぶつかって怪我をさせたりするのではないかと心配です」とY子さんは言う。

就業規則では「バランスボールは禁止」とは書いていない。ただ、A美さんのバランスボールの座り方はあまりにも不安定で、同僚たちは快く思っていないそうだ。

机に向かって作業する職場では、椅子は必須のものだろう。必要不可欠な備品を持ち込むことを制限することはできるのだろうか。また、もし勝手に持ち込んだ私物が原因で怪我をした場合には、会社負担となってしまうのだろうか。原英彰弁護士に聞いた。

狭い通路で、ぐらんぐらんと揺れる女性のシルエット。東京都内のメディア関連企業に勤務するY子さんの職場では、同僚のA美さんがバランスボールに乗ってデスク作業をする姿を皆がヒヤヒヤしながら見守っている。

中途入社のA美さんは、誰に断ることもなく、職場にバランスボールを持ち込んだ。会社が用意した椅子も勝手に撤去したという。「A美さんはバランス感覚が悪いようで、必要以上にぐらんぐらんと揺れています。通路が狭いので、頭を打ったり、誰かにぶつかって怪我をさせたりするのではないかと心配です」とY子さんは言う。

就業規則では「バランスボールは禁止」とは書いていない。ただ、A美さんのバランスボールの座り方はあまりにも不安定で、同僚たちは快く思っていないそうだ。

机に向かって作業する職場では、椅子は必須のものだろう。必要不可欠な備品を持ち込むことを制限することはできるのだろうか。また、もし勝手に持ち込んだ私物が原因で怪我をした場合には、会社負担となってしまうのだろうか。原英彰弁護士に聞いた。

●会社には労働者の私物持込を一定程度制限できる

「労働者が椅子(バランスボール)を持ち込むことを制限することは可能です。

就業規則に『バランスボールは禁止』と書いていなくても、使用者(会社側)には企業秩序を維持確保するために、労働者に指示、命令することが認められます(富士重工事件・最判昭和52年12月13日民集31巻7号1037頁)。

また、使用者には『施設管理権』があるため、労働者が私物を持ち込むことについて、合理的な範囲で制限することができると考えるべきでしょう」

今回のケースのように、危険な使い方をされるバランスボールの持ち込み制限も、「合理的な範囲」として認められることになりそうだ。

●私物が原因で怪我をしたら?

もし私物を持ち込んだ従業員が、怪我をしたり、周囲を怪我させたりした場合には、治療費は誰が負担することになるだろうか。

「第三者に怪我をさせた場合、本人が1次的な責任を負うことになります。しかし、使用者として安全配慮義務違反や使用者責任を問われることがあるので注意が必要です。

本人自身が怪我をした場合、原則は自業自得です。ただし、本人の過失だけでなく、会社設備の瑕疵(かし)が怪我の一因となったような事情があれば、会社責任が生じうる可能性もあります。

そのような事態の発生を憂慮するのであれば、やはり使用を禁止すべきといえるでしょう」

(弁護士ドットコムニュース)

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