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1300億円が「消失」したMRI疑惑 「投資した金」の返還を要求できるか
2013年05月25日 12時35分

アメリカの資産運用会社「MRIインターナショナル」が、日本の顧客約8700人から預かった約1300億円を「消失」させたとされる問題が話題になっている。金融庁や各社報道によると、同社は少なくとも2011年以降は資金をきちんと運用せず、預かった金をそのまま他の出資者への配当や償還金に充てる自転車操業状態だったようだ。

ダイヤモンドオンラインによると、MRI社は以前から「年利6〜8%」など高い利回りを謳い、最初は配当を行ったり、大々的な広告で低リスクを強調したり、大口の顧客を旅行に招待するなど、巧妙に資金を集めていたという。

「投資は自己責任」と言われる。確かに経済誌などでは、以前から同社の商品に疑問を呈していた例もあったようだ。しかし、今回報道されているような実態までを、一般投資家が見抜くというのは相当難しいのではないか。

この「疑惑」はまだ全貌が解明されておらず、MRI社側も金融庁の処分に対して事実認定を争う姿勢を見せているなど、今後の成り行きは不透明だ。そこで、一般論として、資金運用会社に対して「金を返せ」と要求できるのはどんなケースなのだろうか。またその場合、どのような方法で投資した金を回収できるのだろうか。金融問題に詳しい家近知直弁護士に話を聞いた。

●十分な情報と適切な勧誘行為が「自己責任」の前提

「確かに『投資は自己責任』ですが、自己責任を負う前提として、投資家に十分な情報が与えられ、その投資家に応じた適切な勧誘行為が行われなければなりません」

家近弁護士はこう切り出した。

——自己責任とは言い切れないケースというのは、どんな場合なのか。

「今回報道されているように、(1)そもそも預かった金をきちんと運用せず、預かった金をそのまま他の出資者への配当や償還金に充てていた場合のほか、(2)業者の断定的な判断や虚偽の言動によって、投資家が契約内容を誤認した場合、さらには(3)投資家の意向や実情に反して、明らかに過大な危険を伴う取引が積極的に勧誘された場合などが考えられます」

——投資家がお金を返してもらうためには、どんな主張をすればいいのか。

「アプローチとしては、『業者との契約は詐欺・錯誤による』として契約の取消・無効を主張したり、消費者契約法に基づいた契約取消を主張して、業者に対して不当利得の返還請求をすることが考えられます。また、違法な勧誘行為等により損害を被ったとして、不法行為による損害賠償請求をすることによって、業者に対して金の返還を求めていく方法もあるでしょう

ただし、実際に回収できるかどうかは話が別です。特に最初から投資金をだまし取る目的で活動をしている業者は、集めた資金を海外に送金するなどして、差押え等を免れる準備をしている場合があるほか、他の出資者への配当等に充ててしまい、そもそも財産が残っていない場合もあり、被害金の回収には困難が伴うこともあります」

家近弁護士は「いずれにせよ、早期に対応することが重要」とアドバイスする。なお、「MRI資金消失疑惑」に関しては、すでに被害者側弁護団が結成されるなど、投資家側の動きも活発化している模様だ。

(弁護士ドットコムニュース)

アメリカの資産運用会社「MRIインターナショナル」が、日本の顧客約8700人から預かった約1300億円を「消失」させたとされる問題が話題になっている。金融庁や各社報道によると、同社は少なくとも2011年以降は資金をきちんと運用せず、預かった金をそのまま他の出資者への配当や償還金に充てる自転車操業状態だったようだ。

ダイヤモンドオンラインによると、MRI社は以前から「年利6〜8%」など高い利回りを謳い、最初は配当を行ったり、大々的な広告で低リスクを強調したり、大口の顧客を旅行に招待するなど、巧妙に資金を集めていたという。

「投資は自己責任」と言われる。確かに経済誌などでは、以前から同社の商品に疑問を呈していた例もあったようだ。しかし、今回報道されているような実態までを、一般投資家が見抜くというのは相当難しいのではないか。

この「疑惑」はまだ全貌が解明されておらず、MRI社側も金融庁の処分に対して事実認定を争う姿勢を見せているなど、今後の成り行きは不透明だ。そこで、一般論として、資金運用会社に対して「金を返せ」と要求できるのはどんなケースなのだろうか。またその場合、どのような方法で投資した金を回収できるのだろうか。金融問題に詳しい家近知直弁護士に話を聞いた。

●十分な情報と適切な勧誘行為が「自己責任」の前提

「確かに『投資は自己責任』ですが、自己責任を負う前提として、投資家に十分な情報が与えられ、その投資家に応じた適切な勧誘行為が行われなければなりません」

家近弁護士はこう切り出した。

——自己責任とは言い切れないケースというのは、どんな場合なのか。

「今回報道されているように、(1)そもそも預かった金をきちんと運用せず、預かった金をそのまま他の出資者への配当や償還金に充てていた場合のほか、(2)業者の断定的な判断や虚偽の言動によって、投資家が契約内容を誤認した場合、さらには(3)投資家の意向や実情に反して、明らかに過大な危険を伴う取引が積極的に勧誘された場合などが考えられます」

——投資家がお金を返してもらうためには、どんな主張をすればいいのか。

「アプローチとしては、『業者との契約は詐欺・錯誤による』として契約の取消・無効を主張したり、消費者契約法に基づいた契約取消を主張して、業者に対して不当利得の返還請求をすることが考えられます。また、違法な勧誘行為等により損害を被ったとして、不法行為による損害賠償請求をすることによって、業者に対して金の返還を求めていく方法もあるでしょう

ただし、実際に回収できるかどうかは話が別です。特に最初から投資金をだまし取る目的で活動をしている業者は、集めた資金を海外に送金するなどして、差押え等を免れる準備をしている場合があるほか、他の出資者への配当等に充ててしまい、そもそも財産が残っていない場合もあり、被害金の回収には困難が伴うこともあります」

家近弁護士は「いずれにせよ、早期に対応することが重要」とアドバイスする。なお、「MRI資金消失疑惑」に関しては、すでに被害者側弁護団が結成されるなど、投資家側の動きも活発化している模様だ。

(弁護士ドットコムニュース)

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